オコエ、“1、2年目の落とし穴”で楽天に居場所なし…それでも「大田泰示」のようなケースになるか

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野球を舐めてしまった

 そして、「プロではモノになるまでに時間がかかる」という評価とは裏腹に、ルーキーイヤーに一軍で初ホームランを放つと、2年目には41試合で39安打、3本塁打、打率.300という結果を残している。ここまでは、“良い意味”で期待を裏切る結果だったと言えるだろう。

 しかし、前出のスカウトは「1、2年目の活躍に“落とし穴”があったのではないか」と指摘する。

「意外に早く一軍に出てきたなという印象がありましたね。打つ形も良くなって、苦手だった内角もさばけるようになったのには驚きました。ただ、そのことで、ちょっと野球を舐めてしまった部分があったかもしれません。一軍で結果を出せば、当然、研究されて苦手なところを攻められる。そうなった時に、もうワンランク技術を上げないと、一軍で結果は残せません。オコエに限らず、それができずに停滞してしまう選手は多いですね。特に、オコエの場合は、甲子園のスターで期待が高かった分、ちょっと結果が出ないと叩かれやすい。そのことで、さらに厳しい状況に追い込まれてしまったと思います」

 結局、2年目の数字がキャリアハイとなり、レギュラー獲得にはいたらず7年目に突入したというのが現状である。プレー以外の部分、素行の悪さなどが話題になることが多い点もやはり気になるところだ。

太田泰示選手と重なる部分

 その一方、「オコエが活躍できないのは、本人だけの問題ではない」と指摘する声もある。こちらはセ・リーグ球団スカウトの話。

「楽天は、オコエと年齢が近い、田中和基や岩見雅紀、辰己涼介、小郷裕哉といった大卒の外野手をドラフトで多く獲得しています。今年は、そこに実績十分な西川遥輝も入ってきた。競争するのは当然なんですけど、出番が限られると、やはりレベルが上がっていきません。オコエは怪我をしやすいとか、本人の問題も多いのは確かですが、もう少し試合に出られる環境であれば、どうなるのかを見てみたいです。(巨人から日本ハムにトレードされた)大田泰示(現・DeNA)のように、オコエもトレードされたら、変わるのではないかと思っている人もいると思いますよ」

 大田は、2008年のドラフト1位で期待されて、巨人に入団しながら、二軍暮らしが続いていたが、プロ入り8年目のオフにトレードで日本ハムに移籍すると、一気に主力選手へ成長している。高い運動能力と長打力、そして高校時代は打撃が不器用だったという点をみると、確かに、大田とオコエと重なる部分は多い。

 今回の記事化にあたり、オコエについて複数のスカウトに話を聞いたが、「(3年夏の)甲子園は凄かった。あんなプレーをプロでも見たい」という声が多かった。もう一度、飛ぶようにダイヤモンドを疾走する姿を見せてくれることを期待したい。

<楽天・オコエ瑠偉の打撃成績>
2016年 51試合 打率.185  22安打 1本塁打 6打点 4盗塁
2017年 41試合 打率.300  39安打 3本塁打 11打点 5盗塁
2018年 44試合 打率.198  22安打 2本塁打 6打点 2盗塁
2019年 52試合 打率.182  20安打 3本塁打 15打点 5盗塁
2020年 一軍出場なし
2021年 42試合 打率.223  21安打 0本塁打 6打点 3盗塁
2022年 一軍出場なし
通算  230試合 打率.220  124安打 9本塁打 44打点 19盗塁

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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