好感度女優・伊藤沙莉の取材対応に見える高度な適応力…大成する子役出身女優はみな「おじさん」好き!?

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憎まれ役に世話焼き役……「ウサギよりタヌキ」の自覚が生んだ高すぎる適応力

「女王の教室」や「GTO」ではいじめっ子、「これは経費で~」や「けもなれ」では、はっちゃけた同僚役。「全裸監督」や「タイトル、拒絶」では、風俗産業の女性をサポートするスタッフ。「ボクたちはみんな大人になれなかった」や「劇場」では、繊細なサブカル男子の「忘れられない彼女」を演じている。

 クセの強い役ばかりといえばそれまでだが、中心人物たちの悩みや苦しみを反映したり受け止める役ともいえるだろう。こうした役が沙莉さんの当たり役に見えるのは、演技力だけではなく、身に付け続けてきた適応力の高さゆえのリアリティーもにじみ出ているからと言っては深読みしすぎだろうか。主役や準主役という立ち位置でも、女王様然としたウサギではなくタヌキだという自覚。ゆえに、現場の思いを漏らさずくみ取る感覚を武器にしてきたように見える。

 役柄と違い、実際は末っ子で妹気質だという沙莉さん。それでも、甘えやあざとさを押し出すことはない。熱愛発覚時の取材でも、笑いながら記者に答えたという堂々たるもの。その後のツイートでも、相手から猛プッシュがあったという報道を一笑に付した。映画監督や中年俳優による年下女優への性加害が続出していた中で、痛くもない腹を探られるのを見事に回避した格好だ。ダウンタウンの松ちゃんをして「地頭が良い」と言わしめたが、やはり彼女の適応力の高さを改めて印象付けたのではないだろうか。

「おじさん」好き子役出身女優たちの真の力とは 好感度女優・伊藤沙莉が負う重圧と「タヌキ」ヒロインへの期待

 共演者であれ、世間であれ、マスコミ記者であれ、相手の求める態度を瞬時に過不足なく演じられるのが女優なのだと、沙莉さんを見て思う。「おじさん」好きの子役出身者が大成するというよりは、年齢や立場を超えて相手の要求に想像力を働かせ続けてきた女優は大成すると言い換えるべきだった。

 ただここまで好感度が上がると、あとは下がるのが怖くなる。ある女優は今回の報道に対し、「脚本家に書いてもらえるかもしれないしうらやましい」とコメントしたが、恋愛が仕事につながると考えている人間が多い業界ではいらぬ勘ぐりをされることもあるだろう。後日、蓬莱氏と別の女優との「二股交際」疑惑も出ただけに、油断は禁物である。しかしこれにも丁寧かつきっぱりとした反論を行い、再び適応力の高さを見せつけた沙莉さん。やりすぎると「計算高い」「あざとい」に転びかねないものの、今のところ彼女に死角は見当たらない。

「タヌキ側だからといって卑下していません。タヌキのヒロインって、突き詰めれば突き詰めるほど、ウサギのヒロインよりかわいく見える時がある」。先のインタビューで沙莉さんはそう語っていた。「狐七化け、狸は八化け」という言葉もある。これからもタヌキよろしく、時には狡猾に、さまざまなかわいらしさで我々を化かし続けてほしい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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