「東芝機械」社長が明かす「村上世彰」との闘争の舞台裏 いかにして「物言う株主」を撃退したか

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

節税スキーム

 村上氏と交渉中の19年11月、東芝が、グループ傘下の「ニューフレアテクノロジー」を「完全子会社」化するためTOBの実施を表明。精密機器メーカー「HOYA」も参戦してのニューフレア争奪戦となった。この争奪戦のあいだも、村上氏からは自社株買いを催促され、“節税スキーム”の実行まで要求されたという。

「確かに、村上さんの提案に従えば節税の恩恵が受けられました。しかし、東芝のTOBが成立するかどうかのイニシアティブは当時、東芝機械が握っていた。優越的立場を利用して節税に走れば、他の株主からの不公平だとの批判は免れ得ません。ましてや、TOBの当事者は東芝ですから、“東芝に持ちかけてほしい”と言って、村上さんの提案は受け入れなかったのです」

 結局、東芝機械は東芝のTOBに応じ、ニューフレア争奪戦は20年1月に幕を閉じる。その数日後、村上ファンドグループの「シティインデックスイレブンス」は東芝機械のTOBを実施すると明らかにした。しかし、そこに生じたのが外為法違反の可能性だった。(つづく)

「週刊新潮」2020年3月19日号「MONEY」欄の有料版では、坂元社長の証言を詳報する。

週刊新潮 2020年3月19日号掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。