「東芝機械」社長が明かす「村上世彰」との闘争の舞台裏 いかにして「物言う株主」を撃退したか
自社株買い
経営再建に向け、「東芝」は会社を3分割する方針から2分割へと変更した。だが3月末、「物言う株主」の反対で2社分割案も頓挫。今度は、6月の定期株主総会に向けて非上場化を検討するという。当分、ドタバタが続きそうな東芝だが、2017年までその傘下にあった「東芝機械(現・芝浦機械、以下同)」は、きっちりと物言う株主を退けている。以下に紹介するのは、20年当時に東芝機械のトップが語っていた、闘いの舞台裏。
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東芝機械はかつて、旧ソ連への潜水艦用スクリュー加工機械の輸出を行い、ココム規制違反に問われた。「外為法」に抵触する機械を製造する企業であるため、「外資」が10%超の株式を保有するには事前に日銀経由で財務省に報告し、承認を得る必要がある。
その東芝機械が、村上世彰氏に狙われた。18年12月、村上ファンドの一角である「オフィスサポート」らが5.32%の株式取得を公表したのだ。
東芝機械の坂元繁友社長が攻防劇を振り返る。
「村上さんの主張は終始、“自社株買いによって、株価上昇を図るべき”というものでした。内部留保から捻出できるはずの300億円を使った自社株買いを求められた。しかし、自社株買いによる株価上昇は会社業績に伴うものではないため、一貫して撥ねつけてきました」
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