やっぱり神ってる「鈴木誠也」、メジャーでいきなり大爆発した2つの理由

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武器がないのが武器

 米大リーグ、カブスの鈴木誠也が驚異的な開幕ダッシュでメジャーを沸かせている。ロックアウトの影響でカブス入団が3月にずれ込み、オープン戦では大谷翔平(エンゼルス)の陰に隠れていたが、ここにきて一躍、“時の人”に。古巣の広島・緒方孝市監督が鈴木の活躍を評し、2016年の流行語大賞にもなった「神ってる」バットに何が起きているのか。【津浦集/スポーツライター】

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 日本人野手のメジャー1年目といえば、最近では筒香嘉智(パイレーツ)が打率1割台の不振にあえいだことも記憶に新しい。その意味でも、開幕10試合で鈴木が叩き出した打率4割2分9厘、4本塁打、11打点は出色の数字だ。18日には、18年の大谷以来となる1年目4月での「週間MVP」にも輝いた。東京五輪金メダルに貢献した「侍ジャパンの4番」は、メジャーでも4番に起用されている。

「誰もこんなに活躍するとは思っていませんでした。最近の日本人野手で目立つのは大谷翔平ぐらい。今年は新労使協定を巡って労使が対立してロックアウトとなりました。例年よりキャンプが短かったこともあって、米メディアも鈴木が適応するには時間がかかるとみていたのです」(大リーグ記者)

 イチローは別として、松井秀喜、松井稼頭央と、日本球界を代表する名立たる打者たちも、ルーキーイヤーは本来の力を発揮できなかった。彼らほど注目度が高くなかった鈴木は、なぜ快進撃を見せているのか。その秘密を解く、ひとつ目の鍵について、昨季まで対戦相手だったセ・リーグ球団のコーチが言及した。

「長打力がある右打者はメジャーにごろごろいます。また、鈴木の強肩はメジャーでも抜けているものの、守備、走塁を含め一つだけ取ればもっと優れた選手がいる。しかし、これだけ“走・攻・守”をバランス良く兼ね備えている選手は限られます。何かが不振でも別の何かで補えるため、精神的な余裕もあるのでしょう。突出した武器がないことが武器といえるかもしれません」

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