この局面で「ウクライナも悪い」と言い出す著名人の心理 識者が思い出した“東欧諸国の惨状”

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大統領は死ね!?

 時間は前後するが、3月21日には《一般市民が死ぬよりもまずは政治家たちが死ぬのが先だろ》と投稿した。

 ひょっとすると、橋下氏が用いる《政治家》という語句には、独自の定義があるのかもしれない。

 だが、常識的な読み方をすると、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領(44)でさえも、一般市民より《死ぬのが先》と主張しているようだ。

《今の時代にあっても政治家が生き残って、兵士や一般市民が犠牲になる戦争指導が行われる。マリウポリの状況では、一般市民が死ぬよりもまずは政治家たちが死ぬのが先だろ。戦う一択の戦争指導は、政治家が自分の命と引き換えに市民の命を守るという思考にならなくなる》

 更に同日、同じ趣旨の投稿を続けた。こちらも引用しておこう。

《戦争指導者・政治家たちに確固たる政治的信念がありそれを貫くのなら、市民の犠牲と引き換えにまずは自分たちの命を賭けろ。民主国家においては政治家はいくらでも補充できる。マリウポリ市民とウクライナの政治家を入れ替えるくらいの交渉をしろ!》

 こちらも念のため、橋下氏の主張を確認しておこう。ゼレンスキー大統領の《補充》はいくらでも可能だ。そのため、政治家はマウリポリに向かい、マウリポリ市民はキーフに移動すべきだ、と訴えているように思われる。

ウクライナを批判する人々

 鈴木氏と橋下氏の主張の特徴は、ロシアを直接的に批判することは控える一方で、ウクライナには問題があると指摘している点だ。

 朝日新聞が運営する言論サイト「論座」は3月29日、社会起業家でコラムニストの勝部元気氏が執筆した「太田光氏やれいわ新選組が主張する『中立』はロシア擁護でしかない」との原稿を掲載した。

 念のため言い添えれば、勝部氏は鈴木氏と橋下氏の発言については言及していないが、「ロシアではなくウクライナを非難する人々」の傾向について分析しており、これが非常に興味深い。

鈴木議員に対する批判

《「確かにロシア(orプーチン)は悪いとは思う。でも……」という「イエスバット話法」を用いて、ウクライナの問題点を同列に並べて指摘をする「Victim Blaming(被害者叩き)」や、ロシアの侵攻に批判の声を上げる人々に対して「戦争反対と言ったところで戦争は止まらない」と冷笑する言説が散見されます》

 勝部氏の指摘を元に、2氏にどのような批判が行われたか、具体的に見てみよう。まずは鈴木氏だ。

 ウクライナ侵攻の問題で橋下氏とも論争を繰り広げた日本在住のウクライナ人国際政治学者、アンドリー・グレンコ氏(34)は3月24日、Twitterで以下のように鈴木氏を批判した。

《強盗は、強盗犯が悪いのではなく、外壁を綺麗にして、強盗犯を挑発した家主が悪いのですね》

 更に、慶応義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一氏(50)が3月26日に投稿したツイートも、名指しはしなかったものの鈴木氏を批判したと受け止められた。

《なぜ「ロシアもウクライナも両方悪い」という議論が適切ではないのか。それは国際社会にもルールや規範があるから。ロシアの行動は、国連憲章2条4項の国際紛争解決のための武力行使を禁ずる国際法違反。ウクライナの行動は、同51条の個別的自衛権行使に基づくもの。国連総会も日本政府も、それに賛同》

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