ロシアの巡洋艦「モスクワ」が瞬く間に撃沈された理由 専門家は「窓と甲板」問題、足りない思想を指摘

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 ロシア国防省は14日、ミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没したと発表した。更にフランス通信社(AFP)は16日、アメリカの国防総省が「ウクライナ軍が『モスクワ』を撃沈した」との見解を明らかにしたと報じた。

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 AFP=時事(電子版)が16日、「ロシア旗艦、ウクライナが撃沈 米国防総省が見解」との記事を配信している。

 それによると《米国防総省高官》が匿名を条件に取材に応じ、巡洋艦「モスクワ」は《ウクライナ軍によるミサイル攻撃2発を受け撃沈した》との見解を示したという。

「モスクワ」は首都の名を冠したロシア黒海艦隊の旗艦だ。日本人にとっての、旧日本海軍の戦艦、大和や武蔵のような存在に近いかもしれない。

 旗艦の沈没は、ロシアの威信を大きく傷つける。そこで現地のメディアは、“珍理論”を使ってまでも火消しに懸命だ。

 朝日新聞は4月16日の朝刊に、「ロシア旗艦『モスクワ』炎上、沈没 攻撃・防空両面で打撃、士気に影響も」との記事を掲載した。

 文中では《ロシア側は、影響の大きさを打ち消すのに必死だ》とし、以下の記述がある。

《同艦は2020年に修理や装備の近代化を終えたばかりだが、経済紙RBCは15日、「強力な船だが、現実は絶望的なほど老朽化しており、防空システムに問題があった」という軍事専門家の話を掲載。「威信は失ったが、(作戦面では)ほとんど変わりはない」との主張も載せた》

1982年に完成した「モスクワ」

 非常に古い、オンボロの軍艦だから、沈没しても支障はない──こんな主張をロシアの新聞が掲載したというのだから、呆れる人も多いだろう。

 確かに「モスクワ」が“最新鋭”の巡洋艦でないことは間違いない。担当記者が言う。

「スラヴァ級ミサイル巡洋艦の1番艦である『モスクワ』は、1976年に建艦が始まり、79年に進水、82年に完成しました。03年のイラク戦争、08年のジョージア侵攻(南オセチア紛争)、13年のシリア内戦、14年のクリミア危機などに出撃し、約40年間、存在感を示してきました」

 40年前の軍艦と聞けば、相当に老朽化した印象を持ってしまう。だが、一概にそうとも言えないようだ。

「1985年に発生した日航ジャンボ機墜落事故の際、海上に落ちていた水平尾翼を発見したことで知られる海上自衛隊の護衛艦『まつゆき』は、2021年4月に除籍となりました。就役期間は35年です。防衛省の関係団体がインターネットで護衛艦の就役年数を公開していますが、その多くは30年から35年というところです」(同・記者)

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