伸び悩む4年目「吉田輝星」 なぜ先発でなかなか結果を残せないのか?

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藤川球児に近いイメージ

 吉田が魅力的なストレートを持ちながら、なかなか殻を破ることができない理由は、変化球やコントロールに課題がある。さらに、付け加えるならば、起用法にも問題があるのではないだろうか。他球団の関係者は、吉田の現状について、以下のように分析している。

「昨年まで二軍でも先発で起用されていましたが、長いイニングを乗り切るには、ストレートだけでは、どうしても苦しくなる。吉田は、横に変化するボール、特にスライダーやカットボールがよくないので、カウントをとるのに苦労しています。そして、ストレートの勢いが落ちてきたところを痛打されるケースを繰り返しています」(NPB球団プロスカウト)
 
 前出のプロスカウトは、こう続ける。

「ただ、短いイニングであれば、どんどんストレートで押して勝負できるのではないでしょうか。吉田が投げるストレートのイメージとしては、(阪神の抑えで活躍した)藤川球児に近いものがあります。藤川もリリーフに転向してから、大成しましたし、吉田もリリーフの方が向いていると思います。さきほどお話した、横に変化するボールが難しいのであれば、縦に変化するボールに磨きをかけることです。落ちるボール、フォークの精度さえ上がれば、ピッチングが安定してくるのではないでしょうか」

リリーフ起用は定着するか

 今季のピッチングを振り返ると、最初の登板こそ先発で起用され、4回3失点で降板したものの、プロ初のリリーフ登板となった4月2日のオリックス戦は1回をストレート6球で三者凡退に抑えている。その後、5日のロッテ戦は1回、8日の楽天戦は2回、13日の西武戦は2回をいずれも無失点と、結果を残した。

 吉田本人が先発復帰に意欲的なコメントを残すなど、今後リリーフ起用が定着するのか不透明な状況だが、この結果は好材料だといえるだろう。チームのリリーフ陣は、ドラフト8位のルーキー、北山亘基が奮闘しているものの、手薄な状況は否めない。吉田と北山の若い2人が並び立てば、試合中盤以降の戦い方が変わってくるだろう。

 高校生のドラ1となると、どうしても先発でエースへ成長してほしいという考え方が根強くあるとはいえ、不動のクローザーやセットアッパーの確立は、チームの再建には欠かせない。今後、ビッグボスこと新庄剛志監督が、吉田の適性を見極めて、どのように育てながら、起用していくのかに注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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