伸び悩む4年目「吉田輝星」 なぜ先発でなかなか結果を残せないのか?

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かつての「甲子園のヒーロー」

「夏の甲子園」を熱狂させた“金足農フィーバー”の主役が、プロの世界で苦しんでいる。日本ハムにドラフト1位で入団した吉田輝星は、2019年のルーキーイヤーに、一軍で初登板初勝利という輝かしいデビューを飾ったものの、その後は低迷している。昨年までのプロ3年間で、10試合登板、1勝6敗、防御率9.72という数字は寂しすぎる。【西尾典文/野球ライター】

 吉田を高校時代からよく知る、東北地区の担当スカウトは、かつての「甲子園のヒーロー」に手厳しい。

「吉田は1年生から公式戦で投げていたので、もちろん、その存在は知っていましたけれど、下級生の頃は、そんなにストレートにスピードがなかった。早い時期から、八戸学院大学に進学するという話を聞いていたので、3年生の地方大会までは、正直に言って、そこまでマークをしていませんでした。同じように見ていた球団のスカウトも多かったです。3年生の春から夏にかけて、急にストレートが速くなりましたが、身長(175cm)が高くないので、プロではなく、大学に進学するだろうと見ていました。もし、夏の甲子園に出ていなかったら、今頃は大学で投げていたと思いますね」

伸びがあるストレートは健在

 高校生の場合、吉田のように、短期間で急激な成長を遂げることは少なくない。
昨年限りで現役から退いた元日本ハムの斎藤佑樹氏は、その代表例である。しかし、最近の有力選手はかなり早い段階から進路を決めているケースが多く、吉田のように、夏の甲子園が終わってから進路を変更する選手は少数派だ。前出の斎藤氏も、高卒でのプロ入りがメディアで取り沙汰されたが、当初の方針通り、早稲田大に進学したのはご存じの通りだ。

 ドラフト会議では、最初の入札で吉田を指名する球団はなく、結局、根尾昂(大阪桐蔭、現中日)を抽選で外した日本ハムが、吉田を「外れ1位」で指名することになった。甲子園での大活躍によって、知名度と期待値が高くなっていた一方、やはり、吉田の実力不足は否めず、プロで苦しむのも致し方ない部分はあるだろう。

 ここまでネガティブな話が続いたが、吉田には、もちろん“キラリと光るもの”がある。最大の魅力は、何といってもストレートだ。その球速は140キロ台後半。現在のプロ野球界でズバ抜けて速いわけではないが、数字以上に打者の手元で伸びあがるような勢いがある。夏の甲子園で相手打者をねじ伏せた、伸びがあるストレートは健在で、今季も奪った三振の多くで、それが決め球になっている。

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