解雇当日に妻子と浅草観光…開幕早々「抑え失格」ですぐにクビになった3人の外国人投手
メジャー通算26勝の右腕
開幕から悪夢の9連敗を記録するなど、阪神が低迷を続けている。すべては3月25日の開幕戦、ヤクルト戦で、最大7点差のリードを守れず、1点リードの9回に“新守護神”カイル・ケラーが2被弾3失点と試合をぶち壊したことから始まった。ケラーは二軍で調整中だが、過去には、開幕早々「抑え失格」の烙印を押され、「あっ」という間に消えてしまった助っ人投手たちがいた。【久保田龍雄/ライター】
1人目は、来日初登板でサヨナラ暴投をやらかし、開幕から1ヵ月余りでスピード解雇された、1989年のホアン・アイケルバーガー(ヤクルト)である。
パドレス時代に2年間で15勝を挙げるなど、メジャー通算26勝を記録した右腕は、元巨人の外野手、レジー・スミスの紹介で、テスト生としてヤクルトのユマキャンプに参加。重い速球をコースにビシビシと決め、抑え候補として合格をかち取った。
来日後、アイケルバーガーは、3月28日のオープン戦、オリックス戦で8回の1イニングをピシャリと抑えたが、4月1日のロッテ戦では、2回を4失点とピリッとせず、関根潤三監督も「頭痛いかって? 最初から心配してるよ」と不安をのぞかせた。
そして、4月9日の開幕第2戦、巨人戦、3対3の9回にリリーフ・アイケルバーガーの名が告げられたが、それは“崩壊の序曲”でもあった。
「ガッデム!」
先頭打者を四球で歩かせたあと、二盗と犠打野選、敬遠で無死満塁とピンチを広げ、次打者・原辰徳に対し、捕手が外角低めに構えているのに、内角高めに暴投し、あまりにもあっけないサヨナラ負け……。
1死も取れずに負け投手になったアイケルバーガーはベンチに引き揚げると、「ガッデム(クソ)!」の叫び声とともに、アイスボックスに飛び蹴りを食らわし、破損させた。
その後も、4月11日の中日戦では、同点の8回に3長短打を浴びて2敗目。同19日の大洋戦でも、2点リードの8回に1死から安打と連続四球で満塁のピンチを招いて逆転負けを呼び込むなど、結果を出せなかった。そして、5月20日。新外国人投手獲得に伴い、球団史上最短の解雇選手に……。ヤクルトファンの間でも「開幕早々暴投して、すぐにいなくなった助っ人」として記憶されている。
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