“地獄の東部戦線”でプーチンは窮地に立たされる 鍵を握るウクライナへの武器供与リスト

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 4月12日、プーチン大統領はロシアとウクライナの停戦協議について「行き詰まりの状態に戻った」と話し、停戦合意は遠のいたとの認識を示した。その裏で、両軍の主戦場と化した“東部戦線”では攻防が熾烈さを増している。戦局を占うのは「米欧からの武器供与の質量だ」と軍事専門家は指摘し、今後、ウクライナ側がロシア軍を“撃退”する局面が増える可能性も指摘する。

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 首都キーウ(キエフ)周辺などから撤退したロシア軍は、プーチン大統領が全域制圧を目指すドネツク、ルハンスク(ルガンスク)東部2州の戦線などに投入されたと見られている。

「首都防衛に成功したウクライナ軍ですが、すでに“戦車を100両以上失った”との情報もあります。一方のロシア軍もウクライナ侵攻に投入した戦力の“20%程度を失った”との分析結果があり、双方とも損失は大きい。しかし、これから両軍によるさらに激しい地上戦が始まると見られています」

 こう話すのは軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏だ。

 黒井氏によれば、今後の東部での戦いは第二次世界大戦時、死屍累々の山を築いたヨーロッパ戦線さながらの地上部隊同士の激突が予想されるという。

「ロシア軍は部隊の再配置を進め、東部の部隊の増強を整えつつあると考えられます。攻勢を仕掛けるロシア軍に対し、ウクライナ側は迎え撃つ形になりますが、戦局を変える鍵となるのが米欧から供与される武器です」(同)

ロシア軍とガチンコ衝突

 実際、米欧各国はここに来て、ウクライナへの武器供与を加速している。

 チェコはすでにT72戦車とBMP1歩兵戦闘車などを計数十台供与。T72の主砲口径は125ミリメートルと戦車砲のなかでも最大級のサイズを誇り、BMP1歩兵戦闘車は兵員輸送だけでなく、73mm低圧砲や対戦車ミサイルなどを搭載する。

「どちらも旧ソ連製で、ウクライナ兵が操縦や整備に慣れているため、すぐに使える利点がある。これまでウクライナ軍は待ち伏せやゲリラ戦的な手法で応戦していましたが、歩兵部隊と戦車や歩兵戦闘車などを組み合わせた部隊編成ができれば、ロシア側の地上部隊と真正面から対峙できる。場合によってはロシア軍を押し返し、さらに追撃して大ダメージを負わせることも可能です」(同)

 ただし、そのためには現状の供与数ではまだ足りず、さらなる追加支援が必要という。

 イギリスも偵察などに利用できる装甲車両や対戦車ミサイルなど計1憶ポンド(約160億円)の軍事物資の供与を計画中であり、ウクライナ側の軍備も徐々に増強されつつある。

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