「円神話崩壊」で「ドル建て商品」はアリ? 家計危機を乗り切るための資産防衛術

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ドル建てはメリットが少ない?

 ならば、これまでも一貫して「現金貯蓄が最も安全」と主張してきた専門家は今回の事態にどう対処するのか。経済ジャーナリストの荻原博子氏に聞いてみると、

「円安になり物価が上昇傾向といえど、不動産や株に比べれば現金の価値は未だに安定的だと思います。仮に預け先の銀行が倒産して取り付け騒ぎが起きても、1千万円とその利息までは政府が保証してくれます。多額の現金をお持ちの方なら他行に分散して預けておけばいい。少なくとも年収の1、2年分は貯蓄をしておくべきだと思います。その現金を、今は円安だからといってドルに換えてしまおうとするのも考えもので、金利が高いからといって1億や2億を預けている人なら恩恵があるかもしれませんが、そうでなければ手数料も取られてしまうなど、利益はほとんどないと考えた方がよいと思います」

公共料金が空前の値上がり

 一連の事態で厄介なのは、いくら手元にある資産を守ろうとしても、確実に日常生活における支出が増えているということ。冒頭で述べた生活必需品や日用品のみならず、原油や液化天然ガス(LNG)によって生み出される電気やガスの「公共料金」が、空前の値上がりを見せているのだ。

 経済誌の記者が言う。

「首都圏を抱える東京電力だけでみても、使用量が平均的な家庭の電気料金は、前年比で6千円台前半だったものが8千円台と1800円近くも値上がりしています。おしなべて大手電力各社の電気料金はこの5年で最も高い水準まで上がり、5月以降は消費者に転嫁できる値上げ分の上限を突破する勢いです」

 実は国の定めで電力各社は原料調達のコストが高騰し続けても、青天井に利用料金へ転嫁することはできない。定められた上限額を超過した分は、電力会社が負担する仕組みなのだ。

「今後も燃料コストが上がれば、電力各社の経営体力はそがれていく。そうなると各社は合理化で旧来の火力発電所などを維持することが難しくなり、需給バランスがギリギリの体制で電力を賄う状態に追い込まれる可能性があるのです」(同)

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