「筑波大生不明事件」で「チリ人被告」禁錮28年へ あの「アニータさん」が語っていた事件の背景

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 2016年12月、フランス東部ブザンソンで、留学中の筑波大生黒崎愛海(なるみ)さん(当時21)が突如行方不明になった事件で、元交際相手のチリ人男性・ニコラス・セペダ・コントレラス被告(31)に対し、4月12日、禁錮28年の判決が下った。約6年の歳月を経て一つの節目を迎えたわけだが、愛海さんは未だに行方不明のままで、ニコラス被告も犯行を否定し、控訴。残念ながら全容解明にはほど遠い。ところで発生当時、週刊新潮編集部は、“日本でもっとも有名なチリ人”・アニータさんに接触。事件の背景について取材している。今回改めて彼女の話を紹介する。

とにかくストーカー気質

 ニコラス被告は、14年4月から1年間、特別聴講生として筑波大学に留学。そこで愛海さんと知り合い、交際関係に発展したものの、16年5月に破局。その少し前に愛海さんは周囲に、「恋人からの暴力で悩んでいる」と漏らしていたという。

 つまり、事件発生当時すでに2人は“無関係”だったわけだが、

「ニコラス被告は愛海さんのことが忘れられず、彼女が留学しているブザンソンまで追いかけてきた。しかし、愛海さんにはすでに新たな恋人がいたそうで、そのことをそこで告げられて、逆上し、犯行に及んだというのが大筋の見方です」(国際部記者)

 ニコラス被告は直後にチリに帰国し、フランス検察当局からの身柄引き渡しの要求を凌ぎ続けたものの、20年7月、ついに彼はフランスに引き渡されることになったという次第。それにしても、別れた恋人を追って海を渡ったニコラス被告の執念、すさまじいものがある。

「それは、典型的なチリ人男性の特徴ね」

 と語るのは、チリの自宅で取材に応じてくれた、アニータさんご本人だ。彼女は青森県住宅公社に勤めていた男性と97年に結婚。男性は公金を横領し、約11億円をアニータさんに貢いだとされた。今なお、日本で最も有名なチリ人女性である。

「チリ人男性って、本当に束縛してくるのよ。とにかく付き合っている女性は自分のものだという感覚。それが勝手なことをしようものなら、カンカンに怒り出して、暴力を振るうこともある。私も何度かチリ人男性と付き合ったことがあるけど、彼が知らない男性、と言っても単なる仕事関係の人と私が会っただけで、暴力を振るわれたことがあったわ。私は気が強い女だから、殴り返してやったけどね。でも大半の女性は、男のいいなりになってしまうわね」

とくにひどいのは…

 ところでニコラス被告の父親は、チリ最大手の携帯電話会社の重役。ニコラス被告は貧富の差が激しいチリの中で、数少ない超富裕層の家庭に育ったことになるが、

「特に女を束縛したがるのは、富裕層の男たちよ。彼らは幼い頃から、お母さんに目一杯甘やかされて育つから、とってもわがままなの。とにかく何でも、自分の思い通りにならないと気が済まない。本人に会ったことはないけど、ニコラスなんてまさにその典型じゃないかしら。報道を見ると女の子は、賢くて、交友的で、活発的な子だったんでしょう。フェイスブックにもたくさんの友達がいたはず。ニコラスからしたらそれも我慢ならなかったはずよ。まして新たな恋人だなんて聞いたら、頭に血が上ったんじゃないかしら」

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