SMBC日興証券が組織ぐるみで販売 巨額損失を招いた「ブラジルレアル債」「トルコリラ債」
不適当な勧誘
福岡在住のある年金生活者は、営業マンから熱心に勧められ、ブラジルレアル債やトルコリラ債に全部で8口、3500万円を投じた。だが、ブラジルの景気低迷などからレアルは15年から下落を始め、トルコのリラも退潮傾向に陥る。債券は20年2月までに満期を迎え、結局、計1160万円もの大損を被ってしまった。
「日興証券から“多大なご迷惑をお掛けしました”とお詫びの電話もかかってきたのですが、福岡支店に出向くと、支店長が“投資の損失は投資で取り返してはいかがでしょうか?”と、今度は日経225の先物を勧める始末でした」
一般投資家から被害相談を受けている弁護士によると、
「被害者の大半が、60代から80代のリタイア世代です。ヒアリングすると、日興の営業マンからリスクの説明はなかったと皆が口を揃え、満期になって損失に気づいた方がほとんど。説明義務を怠った不適当な勧誘を受けていたわけです」
組織ぐるみで大損債券を売りつけ、相場操縦を行った大手証券の責任はきわめて重い。
「週刊新潮」2020年4月2日号「MONEY」欄の有料版では、ブラジルレアル債など新興国仕組債の仕組みと被害の実例を詳報する。
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