SMBC日興証券が組織ぐるみで販売 巨額損失を招いた「ブラジルレアル債」「トルコリラ債」
2万口あまりを販売
「SMBC日興証券」幹部らによる相場操縦事件は、株式市場に衝撃を与えた。市場の仲介役を担う大手証券が、組織ぐるみで特定企業の株価を違法に操作していたとして摘発されたのだ。そのSMBC日興証券は2年前にも、一般投資家に1000億円超の損失をもたらし、市場のみならず社会的な信頼も損ねていた。
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2001年、米投資銀行「ゴールドマン・サックス」のエコノミスト、ジム・オニール氏によって、「BRICs」が提唱された。世界経済を牽引することになるであろうブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国の頭文字をとったものだ。BRICsに続いて、インドネシアや韓国、トルコなどの11カ国も、新たな投資先として一躍脚光を浴びるようになった。
SMBC日興証券が10年から扱い始めた「新興国仕組債」は、一般投資家に2万口あまりが販売された。しかし、結果的に1000億円超の損失をもたらしている。
それほどの巨額損失が出たのは、投資の素人である普通のサラリーマンや年金生活者らが口座を開いた「三井住友銀行」の行員からSMBC日興証券の営業マンを紹介され、新興国仕組債に手を出したケースが少なくなかったからだ。問題となった日興証券の新興国仕組債は、おもに、「ブラジルレアル債」と「トルコリラ債」である。
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