その数6000以上… ウクライナ侵攻でロシアへの経済制裁はどこまで許されるか

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経済戦争のルール作りを

 ロシア政府によれば、西側諸国が科した制裁は既に6000を超え、果てしなく制裁が強化されているという。ロシア安全保障会議副議長のメドべージェフ前大統領は8日「西側諸国が科した制裁は不法であり、侵略行為と見なすことができる。一種のハイブリッド戦争だ」とした上で「前例のない規模の不法な制裁は国際関係を袋小路に追い込み、国連を含む国際機関の崩壊を招いている」と主張している。

 ロシア側の主張をそのまま肯定することはできないが、制裁で最も不利益を被っているのはロシアの一般市民であり、エネルギーや穀物価格の高騰で生活苦に追い込まれている発展途上国の多くの人々だ。

 哲学者のカントは著作『永遠の平和のために』の中で「国家間の商取引を増やし、戦えば互いが損失を被る関係を築けば流血を防ぐことができる」と主張したが、西側諸国は「戦いを防ぐはずの相互依存」を逆手にとって「大量破壊兵器」として利用し始めていると言っても過言ではない。

 経済制裁なら何をやっても許されるわけではない。通常の戦争と同様、無関係な民間人に悪影響が及ばないようにするためのルール作りを急ぐべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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