コロナ「BA.2」の感染力、重症化率は高くない? 四つ以上の「基礎疾患」に要注意

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四つ以上の基礎疾患

 若い人はいいが、誤嚥性肺炎の例でわかる通り、高齢者はコロナに感染すると、持病が悪化したり、別の病気を併発したりする恐れがある。それは読売新聞が報じた「第6波『自宅死』161人」というニュースからもわかる。オミクロン株は軽症や無症状が多いため感染に気付かず、自宅から医療機関に搬送中や搬送後に陽性とわかり、直後に亡くなるケースが多かったという。矢野医師が言う。

「数カ月前のCDC(米疾病予防管理センター)のデータによると、ワクチンを2回接種していても、肺や呼吸器、心臓などに四つ以上の基礎疾患があると、死亡リスクが高いとのことでした。三つから四つに増えると、急激に死亡率が高まるというのです。自宅死した方、搬送中や搬送直後にコロナとわかって亡くなった方も、四つ以上の基礎疾患を抱えていた可能性が高い。このように基礎疾患がある方は、必ずブースター接種をし、同居家族と食事をする際も、感染予防を徹底してほしいです」

 そして「個人的に気になることがある」と言い、こう加える。

「重いがん患者や、心臓や腎臓に基礎疾患があって辛うじて生きている方が、たまたまコロナに感染し、コロナは軽症のまま基礎疾患が原因で亡くなっても、コロナ死にカウントされていることに、違和感を抱かざるをえません」

外出した方がいい?

 BA.2も侮れないが、自宅死につながる怖い病気だと、恐れすぎる必要もないわけだ。実際、コロナに負けない免疫力は、怖がって家にこもっていては下がるばかりである。矢野医師が続ける。

「感染を恐れて外出を避け、足腰が脆弱になり、転んで骨折するケースが増え、それによって認知機能も低下しているという報告もあります。歩けていた人が歩けなくなり、筋力が低下してさまざまな合併症を発症してしまう。春ですし、動いたほうがいい。外でも1.5メートル四方に人がいなければ、マスクを外していい。同居家族との小旅行や、感染対策がしっかりした店での友人との外食も、気分転換になり栄養もつきます」

 寺嶋教授も言う。

「散歩をすれば足腰の筋肉を維持でき、目に見える景色が刺激になり、認知機能の維持にも役立ちます。週に2日以上、1日30分以上、7千~8千歩が理想ですが、自分のペースで行うことが大事です。ほかにも掃除をするとか、洗濯物を畳むとか、家事に積極的に参加することです。家事は手先や指先をよく使い、段取りも重要。段取りを考え、それに応じて手を動かすことは、認知機能の維持にもよい影響を与えると思います。散歩でどのルートを歩くか、買い物でなにを買うかを考え、お釣りの勘定で頭を使ったりすることも、認知機能の維持に効果があるはずです」

 こうした諸々を通して免疫が維持されるということを意識し、普段の生活に取り入れたほうがいい。

「感染者数は徐々に減っていく」

 最後に、東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センター長、水谷哲也氏の話を紹介する。

「まん延防止等重点措置が解除され、人出が増えていると感じます。最近の感染者増の主たる原因はそれで、送別会や歓迎会のシーズンだということも原因している。逆に考えると、イベントによる感染者の増加は仕方ないことですが、感染によってブースター接種と同様の効果を得るとも考えられる。だから、感染者数は下げ止まりながらも、徐々に減っていくでしょう」

 入院率、重症化率、死亡率も上がっておらず、悲観すべき状況ではない。むしろ、これしきのウイルスだからこそ、それが原因で致命的な結果を招かないように、動ける人は動きながら、細心の注意を払いたい。

週刊新潮 2022年4月14日号掲載

特集「通常の風邪? 再び肺を直撃!? 感染者増に転じて…コロナ『BA.2』の実態」より

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