コロナ「BA.2」の感染力、重症化率は高くない? 四つ以上の「基礎疾患」に要注意

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のどの感染で嚥下機能が

 そうなると、BA.1と比較して心配なのは感染力くらいだが、浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師が言う。

「WHOもBA.2の感染力についてBA.1と比較し、“デルタ株からオミクロン株へ置き換わったときほどの違いはない”とコメントしています。デルタ株からオミクロン株に置き換わったとき、感染者数が爆発的に増えましたが、今回はそれほどでもないでしょう。先にBA.2に置き換わったデンマークなどのデータを見ても、感染者数は減少傾向にあるので、今後も一気に感染者が増えることはないと思います」

 結局、どの角度から検証しても、BA.1とさほど変わらないようだ。しかし、こと高齢者は、だから安心とはいいきれない。寺嶋教授が警鐘を鳴らす。

「コロナに感染して熱が出ると、食べる量が減ったり脱水症状を引き起こしたりして免疫が低下し、病気を発症して入院する患者さんがいます。たとえば脳梗塞の既往症があると、後遺症で嚥下(えんげ)機能が低下していることも。その場合、発熱で元気がなくなり、食事も摂れず免疫が低下した状態で誤嚥したりすると、誤嚥性肺炎を合併しやすく、実際、この症状で入院する方も多いのです」

 BA.2が直接肺に入らなくても、体が弱っていると、結果的に肺炎を発症しかねないというのだ。

「デルタ株のときは、コロナウイルスが肺で増殖してのウイルス性肺炎が多かった。オミクロン株が主流になってからは、それは減ったものの、発熱などで元気が失われ、少し遅れて誤嚥性肺炎や一般の細菌性肺炎を発症して入院する例が多くなっています。また心臓や腎臓に既往症がある方は、脱水症状から致命的な結果になることが多い。それに認知機能が低下していると、それに伴って食欲が減退し、免疫が低下し、誤嚥のリスクが増加します」(同)

薬の飲みすぎに注意

 ここで肺炎のリスクについて、もう少し深掘りしておいたほうがよさそうだ。寺本教授が説明する。

「オミクロン株で細菌性肺炎、特に誤嚥性肺炎を発症する例は未だにあり、昨日、当院に入院した高齢の患者さんもそうでした。熱を出して救急車で搬送されてきましたが、検査をするとコロナ陽性で、肺を調べると右の肺の下に典型的な誤嚥性肺炎の影があった。コロナになって熱を出し、のどの調子が悪いときに誤嚥して肺炎になったのでしょう。発熱して体がだるくなったり、筋肉の働きが弱くなったりすると、飲み込もうとする筋肉もうまく機能せず、誤嚥してしまうのです。BA.2を含むオミクロン株は、のどの痛みが特徴的ですが、嚥下するうえで最も重要なのどがウイルスに感染すれば、嚥下機能が下がって当然です」

 防ぐ手立てはあるのか。

「薬の飲みすぎも、誤嚥性肺炎を引き起こしやすくする要因の一つ。たとえば神経障害性疼痛(とうつう)を抑える薬を飲むと、リスクのある高齢の方はほぼ誤嚥してしまいます。鎮痛剤は筋肉など身体機能を鎮静化しようとするので、神経の反射や筋肉の動きが弱まり、誤嚥を起こしてしまいます。花粉症の薬などに含まれる抗ヒスタミン剤にも、身体機能を鎮静化する効果があります。鎮痛剤と抗ヒスタミン剤は、それぞれ単一で飲むぶんにはいいですが、花粉症の薬と鎮痛剤を組み合わせて飲んだりすると、誤嚥のリスクが高まります」

 高齢の方は注意したほうがいい。また、

「発声に使う筋肉と嚥下に使う筋肉は、9割がた重なっているので、オーラルフレイル予防に発声が大切です。本の朗読も、感染に気をつけてカラオケで歌うのもいいでしょう。歯磨きなど口腔ケアも大切で、肺炎球菌ワクチンの接種も有益です。肺炎球菌は誤嚥性肺炎の原因のおよそ3割を占めています」

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