コロナ「BA.2」の感染力、重症化率は高くない? 四つ以上の「基礎疾患」に要注意
もう終わるかと思えば、またぞろ感染者が増加傾向だという。そうである以上、自らを守るほかない。BA.2なる新たな敵は手ごわいのか否か。どう戦えばいいのか。感染を防いで健康を維持するための秘策はないのか。身を守る術を専門医らが総合的に指し示す。
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感染力こそ強いが、デルタ株とくらべて病原性が弱いといわれたオミクロン株。侮れないものの、このまま感染者が減り続けた暁には、コロナ禍そのものが終息するかと期待されたが、ここにきて感染が再拡大する兆しが見えている。
たとえば、内閣官房が4月1日に公表したデータによれば、直近1週間の新規感染者数は、44都道府県で前週より増え、その後も同じ傾向が続いている。
原因は、オミクロン株の系統のなかで最も感染力が強いとされ、「ステルスオミクロン」とも呼ばれる「BA.2」である。東京でもこれまで主流だった「BA.1」から急速に置き換わり、3月下旬には52.3%がBA.2と疑われるまでになった。埼玉医科大学の前准教授、松井政則氏(医学博士)が言う。
「現在、アジアやヨーロッパでは主力がBA.2に置き換わりつつあり、アメリカでも半数はBA.2になりました。日本も同様で、このために感染が再拡大しているのだと考えられ、感染者増減のグラフは、今後、フタコブラクダのコブのような曲線を描くのではないかと思います」
終息どころか、再びグラフに山が描かれるのは避けられないというのだが、そもそも、BA.2とはどんなウイルスなのか。
「オミクロン株から進化した四つの亜種の一つで、兄弟のような関係のBA.1とは、性格がかなり似ていると思っていい。ただし異なる点も指摘され、BA.1とBA.2には、共通する変異が30程度ある一方で、共通しない変異も20程度あり、それが感染力の差となって表れていると考えられています」(同)
過去の悪夢に逆戻り?
BA.1との差で特に気になるのが、東京大学医科学研究所の佐藤佳教授らによる実験結果だろう。それぞれのウイルスを再現してハムスターに感染させると、BA.1では肺からウイルスが検出されず、体重は減らなかったが、BA.2では肺からもウイルスが検出され、体重も減少したというのである。
オミクロン株は感染しても肺に到達しにくく、鼻やのど、気管で留まるから重症化リスクは低い――。そんな説明だったのに、BA.2ではまた、あっという間に肺が真っ白になるような人が続出するのか。そうだとすれば、過去の悪夢に逆戻りだが、まずは松井氏に、くだんの実験について説明してもらう。
「佐藤先生のグループは、BA.1とBA.2それぞれのスパイクタンパク質の特徴を発現しているウイルスを人工的に作って、ハムスターの鼻から感染させています。その結果、BA.1の人工ウイルスを入れたハムスターは、肺からウイルスがほとんど検出されず、体調も悪化しませんでしたが、同様にBA.2を再現したウイルスを鼻から感染させると、一定時間ののち肺からウイルスが検出され、体重の減少傾向が確認されました。つまり、肺でウイルスが増殖して肺炎になり、体調が悪化して体重も減ったと考えられるのです」
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