茂木幹事長VS高市政調会長 不仲の全真相 自民党幹部「もはや子どもの喧嘩状態」
「高市外し」と高市氏の「逆襲」
そして、年明けの通常国会。政局の焦点はガソリン代の値下げを巡る国民民主党との協議でした。茂木氏はこの協議でも高市氏を外し、さらに参院選対策として考え出した年金受給者に対する5000円の給付についても事前にまったく相談しませんでした。
「政調会長なのに私は聞いていないんだけど」
高市氏の不満は頂点に達します。首相官邸に出向き、岸田首相に直接訴えます。
「自民党の党則には、党の政策は政調を通すようにちゃんと書いてあります。守ってもらわないと困るんです」
ここは「聞く力」を標榜する岸田首相、3月28日の党役員会で、居並ぶ党幹部を前に党則を読み上げました。
「党則には『党が採用する議案は政調会の議を経る』と書いてあります。党内手続きを尊重するようにお願いします」
しかし、この役員会の内容を記者団にブリーフする担当は、当の茂木幹事長。記者会見でこの部分をスルーしました。高市氏の怒りは収まりません。翌日には、
「年金受給者への5000円の給付は新年度の予算での実施は白紙」「ゼロベースで話し合っていきます」
5000円の給付は党内外から評判が悪く、再検討した上で他の経済対策にまぶす方針となっていましたが、主導した茂木幹事長の面目を敢えて潰した発言。自民党幹部は「もはや子どもの喧嘩状態」と頭を抱えます。
ショートケーキかチョコレートケーキか
何とか仲を取り持とうとしたのが自民党「いい人キャラ」代表格の福田達夫総務会長です。福田氏の差配で週に一度、党四役がざっくばらんに話す「お茶会」が開かれることになりました。ところが、3月30日の初回、高市氏は途中退席します。その後、記者団にこう言い放ちました。
「お茶会と言うのでお紅茶やケーキが出てくるのかと思ったら、ペットボトルのお茶が置いてあって驚いた」
翌週に向けて福田氏は、ケーキを用意しようとしますが、遠藤利明選対委員長がチョコレートケーキを希望したのに対して、高市氏がショートケーキを主張。福田氏は頭を抱えます。結局ショートケーキになったのですが、自民党議員も苦笑いするしかありません。
「茂木さんも高市さんもチームプレーの人じゃないからな。こうなることは分かっていたよ」
ただ、政権の中枢で繰り広げられる子どもじみたつばぜり合いは、単なる笑い話では済まないのです。
[2/3ページ]