ロシア国民のプーチン支持率は80% 識者が「東条内閣の末期を思い出す」という理由

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 ブルームバーグ(電子・日本語版)は4月1日、「ロシア世論調査、プーチン大統領の支持率83%-反対派の弾圧進む中」の記事を配信した。日本人にとっては信じがたい支持率の高さだ。

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 4月1日の配信だったが、残念ながらエイプリルフールの冗談記事ではなかった。本当に8割のロシア人がウラジーミル・プーチン大統領(69)を支持しているようなのだ。

 担当記者は「政府系機関の調査であれば信頼できませんが、こちらは独立系機関が実施したものでした。そのため高い注目を集めたのです」と言う。

「プーチン大統領を普段は積極的に支持しないロシア人でも、ウクライナ侵攻で『ロシアはNATO(北大西洋条約機構)の脅威にさらされている』と受け止めているそうです。NATOへの危機感が大統領の支持率上昇につながったのではないか、というのがブルームバーグの分析でした。ただし、ロシア政府が反体制派の弾圧を強めていることから、たとえ独立系機関の調査であっても全面的に信頼することはできない、とも記しています」

 NHK NEWS WEBは4月7日、「プーチン大統領 なぜ高支持率? 独立系世論調査機関幹部が分析」との記事を配信した。

 NHKは、この独立系調査機関の所長を務めたことがある、社会学者のレフ・グドゥコフ氏(75)にインタビューを行った。

「グドゥコフ氏は、プーチン支持層の多くは高齢者や地方在住者で、彼らの情報源はプロパガンダを垂れ流す国営放送がメインになっていることを指摘しました。プーチン政権による情報統制により、高支持率を実現したという分析です」(同・記者)

プーチン批判は“少数派”

 防衛大学校名誉教授の佐瀬昌盛氏は、東京大学と同大学院で国際関係論を研究、ベルリン自由大学に留学した。

 国際政治学者として米ソ両大国による東西冷戦の研究を重ねた。成蹊大学の助教授を経て防衛大学校の教授に就任。当然ながら、今回のウクライナ侵攻にも強い関心を持っているという。

「3月15日に産経新聞が掲載した『元外務次官ゲオルギー・クナーゼ氏 「露外交官は良心の辞職を」』の記事を大変に興味深く読みました。クナーゼ氏(73)はボリス・エリツィン元大統領(1931~2007)の懐刀だった人で、日本語が堪能な知日派です。私も専門家の会合で、彼と何度も顔を合わせました」

 産経新聞の取材に対しクナーゼ氏は、プーチン大統領とセルゲイ・ラブロフ外務大臣(72)を厳しく批判している。

「駐日ロシア大使のミハイル・ガルージン氏(61)は、プーチン大統領に三拝九拝するようなタイプです。私は本気で、クナーゼ氏の身辺に何か起こらないか心配しています。それほど勇気ある発言なのですが、残念ながら、ロシアの世論では少数派の見解だと言わざるを得ません」(同・佐瀬氏)

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