松川虎生は佐々木朗希「完全試合」の立役者 高校時代の守備は“怪しい”と言われるも…なぜプロ入り後に急成長?

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「最後まで松川を信じて投げました」

 ロッテ・佐々木朗希による28年ぶりの完全試合達成の快挙に沸くプロ野球界。そのもうひとりの立役者として、佐々木とバッテリーを組んだ、高卒ルーキーの捕手、松川虎生が脚光を浴びている。【西尾典文/野球ライター】

 高卒ルーキーの捕手では、史上3人目となる開幕スタメン入りを果たせば、先発出場した7試合中、5試合でチームが勝利するなど、“勝ち運”にも恵まれている(4月10日現在)。佐々木は、4月10日の完全試合達成後のインタビューで、「最後まで松川を信じて投げました」、「松川がいいリードしてくれたので、しっかり要求に応えながら投げることができたかと思います」と語るなど、松川に対する信頼感は絶大だ。

 しかし、松川がルーキーイヤーからこれほどの活躍を見せると予想していたプロの関係者はほとんどいなかった。筆者は先日、高校野球の取材現場で、ロッテの榎康弘スカウト部長に会った際、「松川、凄いですね」と話を振ると、「ここまで(キャッチングする動作をしながら)これができるとは思いませんでした。こちらもビックリしています」と話していた。

バッティングの印象の方が強い

 確かに、松川は、高校生キャッチャーの中ではトップクラスの実力者で、ドラフト1位で指名されたとはいえ、「不動の上位候補」と呼ぶべき存在ではなかった。

 筆者は、高校時代の松川が出場した試合を現地で取材している。それは、2年秋の近畿大会・東播磨戦、3年の選抜・県岐阜商戦と明豊戦、3年の和歌山大会、高野山戦の4試合だ。全ての試合で2安打をマークしており、どちらかといえば、バッティングの方が強く印象に残っている。特に、高野山戦では、コールド勝ちを決めるサヨナラホームランを放ち、スイングの柔らかさとインパクトの強さは、ひとり際立っていた。

 その一方で、守備面では気になる点があった。ワンバウンドになるボールを後ろに逸らすことはなかったとはいえ、ボールに対して体を正面に入れずに、ミットだけで止めにいくシーンが多かった。また、バント処理の動きを見ると、フットワークの良さを生かし切ることなく、雑にプレーをしているような印象を受けた。

 2.00秒を切れば、「強肩」と言われるイニング間のセカンド送球タイムは、最速で1.90秒というタイムをマークする一方で、明らかに手加減をして投げていたため、二塁への送球が左右にぶれて、コントロールが定まらない場面もあった。

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