ウクライナ在住日本人に訊く 戦争中でも努めて普通に暮らそうとするキーウの人々の心情

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とにかく戦争に勝ちたい

 平野さんは、日本人はこの戦争に対して誤った認識を持っている人が多いのではないか、とも言う。

「日本には、ウクライナのことをとにかく気の毒に思って『危ないから早くウクライナから逃げた方がいいのに』と思っている人が多いのではないでしょうか。街が破壊され、民間人が虐殺された様子が報道されるたびに、心を痛め、怒りを感じているのは同じですが、ウクライナの人たちはとにかく戦争に負けるわけにはいかないのです。戦争は災害と違って、安全な場所に避難して凌いでいる間に事態が鎮静化するものではありません。ウクライナの人々が自分の国に住み続けるためには、現在進行形で攻め入ってくるロシア軍と戦って、追い返さなければならない。そのために自分たちが出来る努力をしたいし、努力すれば勝てると確信しています」(同)

 日本からも、ウクライナの人々の“戦争に勝ちたい”という思いを後押しして欲しいという。

「避難民への募金など、人道支援はしたいけれど、軍事的な支援はしたくないという人も中にはいると思います。人それぞれの考え方ですし、それも重要な支援ですが、ウクライナ軍は武器が欲しいし、ウクライナの人々も軍を助けたいと思っていることも、また事実です。募金という形だけでなく、例えば、ウクライナの製品を買ってウクライナの経済を助けることも、とてもありがたいと思います。どんな形であれ、日本の方がウクライナへの関心を強く持ち続けることは、日本政府がロシアへの経済制裁を強めたり、ウクライナ政府への支援に動くことにも繋がるでしょう。ウクライナの観光地の中には、既に戦争で壊されてしまったものもありますが、まだそのままの姿で残っているところもたくさんあります。戦争が終わった後には、是非ウクライナを訪れて欲しいとも思います」(同)

デイリー新潮編集部

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