ウクライナ在住日本人に訊く 戦争中でも努めて普通に暮らそうとするキーウの人々の心情

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 ウクライナの首都キーウ近郊のブチャやボロジャンカなどの都市で、ロシア軍撤退後、多数の民間人の遺体が発見されるという痛ましいニュースが続いている。その一方で、キーウでは、空襲警報の合間に、市民が街に出てお店で普通に買い物をする光景がテレビに映し出されていることに驚いた方も多いのではないだろうか。ウクライナ国営通信「ウクルインフォルム通信」日本語版編集者の平野高志さんに、ウクライナ国内の現在の様子を訊いた。

営業再開するお店が続々

 ウクライナに住んで10年以上になる平野さんは、ロシア軍の侵攻以降もウクライナ国内に留まっている。

「既にロシア軍の攻撃を受けて破壊されたり、占領されてしまった街は別ですが、首都キーウなどではレストランや商店など、今も営業を続けているところがたくさんあります。私が2年前に出版した『ウクライナ・ファンブック』では、たくさんのレストランを紹介したのですが、そこに載っている店のほとんどは、今も何らかの形で営業を続けているはずです」(平野さん)

『ウクライナ・ファンブック』(パブリブ)の中には、キーウにあるウクライナ料理のお店だけでなく、クリミア・タタール料理やジョージア料理、手軽な屋台料理まで多彩な飲食店が紹介されている。

「レストランのフェイスブックを見ていると、ボランティアで料理の提供を始めたり、デリバリーサービスで営業していたりするなど、様々な形で営業を続けているようです。街では食料品店は営業を続けていましたし、レストランや美容室などが営業を再開し、学校も遠隔で授業を再開しました。戦争中だからといって、人々が家の中でじっと耐え忍んでいるというわけではありません。むしろ生活基盤を維持するために、それぞれが仕事をし、ウクライナ経済を回していこうと奮闘しています」(同)

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