「ウクライナ軍も裁かれるべき」と言う鳩山由紀夫氏 いま振り返るロシアの「クリミア併合」を絶賛していた原罪
全国紙も批判
《鳩山由紀夫元総理がこれまで繰り返してきた“宇宙人的言動”は、改めて説明する必要もあるまい。だが、3月9日から強行したクリミア共和国訪問は、さすがに驚いた人も多いはずだ。何しろ、クリミアが昨年ロシアに併合されたことに端を発して、ウクライナでは内戦が勃発。西側諸国がこぞってロシアを非難し、G7などによる制裁が行われている真最中である。にもかかわらず、ロシアから発給されたビザで現地に入った鳩山氏は、ロシア政府が泣いて喜ぶような応援演説をぶって回ったのだ》
《「多くの日本国民は間違った情報で洗脳されてしまっている」》
《「クリミアがロシアの一部に戻ったことは、必然かつ肯定されることで、昨年の(ロシア編入の)決定の正しさを証明している」》
そもそも日本政府は鳩山氏に、クリミアに行かないよう、ずっと要請していた。
毎日新聞は2015年3月11日「鳩山元首相:政府の制止振り切り、クリミア入り」との記事を掲載した。
あまり突出した表現を好まない全国紙でさえ、「振り切り」という表現を見出しに使ったことは異例だった。
理解に苦しむ発言の数々
共同通信は同じ日に「鳩山氏『住民投票は合憲』 クリミア編入で」との記事で、以下のような発言を伝えている。
《編入の是非を問うとして昨年3月に実施された住民投票について「ウクライナの憲法にのっとって平和裏に、民主的に行われた」と述べた》
《「民主的に実施されたクリミア住民投票により領土問題が解決した。歴史上、最も意義深い出来事の一つだ」》
こんな“親ロ派”としての発言を、ロシアが喜ばないはずがない。ロシア側がお膳立てした「日本クリミア友好協会」設立が取り沙汰され、鳩山氏と協議を行ったという。
前掲の週刊新潮の記事から、《大手紙のモスクワ特派員》と、政治評論家の屋山太郎氏の批判を引用しよう。
《「鳩山氏の訪問には官邸サイドは怒りを通り越して呆れるばかりです。菅官房長官も“何を考えているのか”と困惑していましたが、それもそのはず。もし、クリミアで行われた住民投票を北方領土でやられたら、日本としては非常に困るからです。日本政府の元首脳が不法な占領を追認することにもなる。政府はロシア制裁に同調しつつも、北方領土返還交渉を念頭に置いて慎重姿勢で臨んできたのですが、鳩山氏の訪問は、それをぶち壊しかねないインパクトがあった」》(大手紙のモスクワ特派員)
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