「完全試合」佐々木朗希、“前人未到” 170キロはあるか?「野球動作解析スペシャリスト」に聞いた

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「8割から9割」の力で投げている

 今年で21歳という年齢を考えると、巨人・ビエイラが持つ日本球界最速記録166キロの更新や前人未到の170キロ到達が現実味を帯びてきそうだ。野球ファンの期待が高まるが……。

「今でも『8割から9割』の力で投げているように見えますし、年齢や体を考えれば、もっと速いボールを投げられると思います。ただ、バッターを抑えるために、『そこまで速いボールが必要なのか』という問題があります。全力で投げなくても十分に速いわけですから。スピードを求めていくと、どうしても体の負担が大きくなる。『速いボールを見たい』という皆さんの気持ちは分かりますが、無理に数字を追い求める必要はないと思います。それでも、このままいけば、8割くらいの力で、今よりもっと速いボールを投げてしまいそうですが(笑)」(川村准教授)

 高校3年夏の岩手大会決勝で登板を回避した際には大きな議論を呼び、ルーキーイヤーは一軍に帯同しながら、実戦登板すらなかった時に「過保護ではないか」という声があった。だが、現在の投球は、そんな雑音を完全に封じ込めるものだといえるだろう。

 岩手が生んだ「令和の怪物」は、果たしてどこまでの高みに達するのか。今後のピッチングから目が離せない。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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