ゼロコロナに固執で上海ロックダウンの惨状 半導体工場は世界不況の“時限爆弾”か

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 中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)が長期化の様相を見せている。市内では日増しに住民の不満と疲労が募り、中国当局も人民解放軍を派遣して対応に追われる異常事態に。一方、上海が“フリーズ”することで危惧される世界的な経済リスクについて専門家は警鐘を鳴らすのだ。

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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月28日に市東部から先行して始まった上海市のロックダウン。4月4日には1日当たりの新規感染者が1万3000人を超え、過去最高を記録した。

 人口2500万人を抱える中国最大の経済都市での感染急増を受け、中国当局は周辺の15の省や市から約4万人を動員。さらに人民解放軍から2000人の医療部隊を投入するなど、過去最大規模の人海戦術で抑え込みを図ろうとしている。

「上海市では3月から感染が急拡大し始めましたが、その大半は無症状の患者です。しかし習近平・国家主席の掲げるゼロコロナ政策のため、無症状であっても検査で陽性となれば専用の隔離施設に送られる。ただイベント会場などを利用した急ごしらえの施設も多く、“トイレの水が流れない”や“感染対策で空調が止められている”など劣悪な環境を訴える声が広がっています」(全国紙外信部記者)

個人商店では食材が高騰

 上海に居住している人や4月1日に上海から東京に来たばかりの人などと密接に連絡を取る、シグマ・キャピタル代表取締役兼チーフエコノミストの田代秀敏氏が現地の様子をこう話す。

「いま上海市民の間では“封鎖は2か月くらい続くかも……”と諦めとも絶望ともつかない声が上がっているそうです。食料難やインフラが止まるといった事態には至っていませんが、スーパーに買い物に行こうにも48時間以内に発行されたPCR検査の陰性証明がないと店内に入ることすらできない。また、生鮮食品の価格はネット通販ではあまり変わらないが、個人商店では2倍から3倍に跳ね上がっているとのことです」

 市内各所に設置されたPCR検査会場も長蛇の列で、場所によっては“4時間待ち”もあるとか。とはいえ、“時間がないから”と列に割り込もうとして揉め事を起こせば、すぐにスマホ搭載の信用スコア(個人の信用格付情報)に反映され、ネットショッピングをはじめ、ありとあらゆる行動に影響が出かねない。そのため皆、不満を胸の内に秘めて大人しく並んでいるという。

 現在、上海市内は「社区」と呼ばれる数千世帯からなる最小行政区画ごとに封鎖・管理され、社区内で感染者が出たエリアでは住民は社区から一歩も出ることができず、感染者の出た建物では自宅ドアから外に出ることも許されない。そんな隔離措置をされた市民に対しては、毎日の食料配達とゴミ出しなどの行政サービスが提供され、日常生活を担保しているという。

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