全日本選抜柔道体重別選手権 阿部一二三がライバル・丸山城志郎との決勝で見せた自信

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「二世対決」ならず

 100キロ超級は、小川雄勢(25、パーク24)と齊藤立(20、国士舘大)と、ともに五輪メダリストの父を持つ「二世対決」が期待された。小川は東京五輪代表の原沢久喜(29、長府工産)を準決勝で下して決勝に進んだ。ところが斉藤は太田彪雅(24、旭化成)との準決勝が延長戦含め13分36秒にも及ぶ試合となり、双方「ばて気味」で技が出ない。審判が両者を指導反則にして2人とも失格となり、小川が不戦勝で優勝するという、やや「シラケ気味」の結果。記者席でも「それはないよ」とブーイングが起きた。

 体重別選手権は、男女ともにひと階級の参加選手は8人と少なく、トップ級に限定される。このため互いに手の内を知り尽くしていることが多く、組手争いや駆け引きに終始して本割の時間を消費し、GSになってからの反則指導で決まってしまうケースが極めて多く残念だった。

 また、新型コロナの影響で、遠路、会場に行きながら、選手インタビューや記者会見は記者席でのリモートばかり。全日本柔連連盟は東京五輪の前に職員がコロナに感染したこともあり、今もかなり神経質になっているようだ。

粟野仁雄(あわの・まさお)
ジャーナリスト。1956年、兵庫県生まれ。大阪大学文学部を卒業。2001年まで共同通信記者。著書に『サハリンに残されて』(三一書房)、『警察の犯罪――鹿児島県警・志布志事件』(ワック)、『検察に、殺される』(ベスト新書)、『ルポ 原発難民』(潮出版社)、『アスベスト禍』(集英社新書)など。

デイリー新潮編集部

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