〈カムカム〉最終回で読み解く藤本脚本の奥深さ なぜ丸いものが数多く登場した?

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 NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」が完結する。大ヒット作となった理由は藤本有紀さん(54)による脚本が出色で、若き日の安子に扮した上白石萌音(24)、るい役の深津絵里(49)、ひなた役の川栄李奈(27)が熱演したからにほかならない。全体像を浮き彫りにしたい。

 語りを務めてきた城田優(36)の役柄は、ひなたが講師を務めるラジオ英語講座「サニー・サイド・イングリッシュ」のパートナー、ウィリアム・ローレンスだった。ウイリアムの通名はビリー(幼少期は幸本澄樹)である。

 ビリーのラジオでの第一声は「ア・ロング・タイム・ア・ゴー」。第1話で安子が生まれた時の語りと一緒だった。この物語は最初に戻った。「戻って来る」。この言葉は物語を読み解く重要なキーワードだった。

 この朝ドラのメインテーマはもはや説明するまでもなく、「永遠の親子愛」。それは3月29日の本稿でも書いた通り、放送開始当初から暗示されていた。

 安子の旧姓「橘」は古事記や日本書紀の時代から「永遠」の象徴。その果実が永遠に香ると信じられ、葉も常緑であるからだ。

 松村北斗(26)が演じた亡き夫・稔の名字「雉真」の雉は古来、「親子愛」を表す。雉の親鳥は山火事の際、自分が焼けてでも子を守ると言い伝えられているためである。

 また、この物語には丸いもの(円)が数多く登場した。ラジオのダイヤル、おはぎ、レコード、野球のボール……。円は始まりも終わりもないので、やはり永遠を表す。これも永遠の親子愛というテーマにつながっていた。

 ただし、円が表すものは永遠だけではない。「戻って来る」という意味も持つ。円はどこから進み始めても同じ場所に戻るからだ。この言葉がカギだった。

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