セブン-イレブンも値上げ開始 268円「さばの塩焼」が298円になることの“重大な意味”
食品や日用品で相次ぐ「値上げ」ラッシュが、ついにコンビニにも。セブン-イレブンは4月初旬より順次、一部の商品の価格を見直すと発表した。数にしておよそ60の品目がその対象だが、識者が「さばの塩焼」が含まれていることに注目するワケとは――。
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コンビニ業界の値上げでは、まずローソンが3月上旬からおにぎりや麺類など50品目の値上げを敢行。また、ファミリーマートでも4月5日より10品目のホットスナックを3~12%値上げしている。こうした影響は業界の雄・セブン-イレブン(以下セブン)も免れられなかった。広報によると、
「値上げの時期は店舗や商品によって異なりますが、すでに今週から価格を改定した商品もあります。来週、再来週にかけて順次、価格が改定となります」
およそ60品目とされている商品のうち、「一例」として公式HPで明かされているのは3商品ある。税抜430円から460円となる「お好み幕の内」、340円→360円の「石臼挽き蕎麦粉のコシ ざるそば」、そして268円→298円の「セブンプレミアム さばの塩焼」だ。
それ以外の値上げ商品について詳細は明かされなかったが、
「およそ60品目のうち、40品目が米飯・麺類、そして20品目が『セブンプレミアム』の総菜類です」(同)。
セブンプレミアムは、言わずと知れたセブンのプライベート・ブランド(PB)商品。2007年の5月からスタートし、いまでは総菜や菓子、ワイン、衣服や洗剤まであらゆるジャンルに展開している。ブランドがはじまった翌年の08年には「2008年日経ヒット商品番付」にも選出され、小売業界におけるPBの象徴的存在となった。
「さばの塩焼」値上げが意味するもの
マーケティングアナリストの渡辺広明氏に、改めてPB商品について解説してもらおう。
「メーカーが企画製造する商品はナショナル・ブランド(NB)といい、PBはコンビニやスーパーなどの小売店が企画し、受注を受けたメーカーが製造します。NB商品のクオリティを落とすことなく、値段が安いことがPBの最大の特長です。一見、より安い製品を市場に出すことになるメーカーにメリットがないと思われるかもしれませんが、店舗数の多い小売店のPBを手掛けることで安定した供給が約束され、工場などの効率的な運営ができます。しかも、NBならかかる広告費用などの販促費も不要。こうした事情から、メーカーにとっては安く商品を供給する意味があるのです」
メーカーからすれば、自社の商品を置いてくれる小売の要望に応えるという、“お付き合い”の側面もあるだろう。今回、セブンが値上げの対象とした「セブンプレミアム さばの塩焼」は、水産食品メーカー「STIフードホールディングス」が手掛けるPB商品だ。先の渡辺氏の解説に照らせば、同社が値上げせざるをえなくなり、セブンがこれを了承した……ということは想像に難くない。
各業界で相次ぐ値上げだが、実はこれまで「PB商品」は対象外となっていた。たとえば西友では、PB「みなさまのお墨付き」の価格は6月末までは据え置くことを3月の時点で発表しており、同様にイオンもPBの「トップバリュ」を6月末までは値上げしないとしている。だからこそ、セブンがPBの「さばの塩焼」の値上げに踏み込んだことには、大きな意味があると渡辺氏は語る。
「私は小売店でバイヤーをしていた経験もあるのですが、原材料や原油の高騰、そして物流の混乱など、複合的かつグローバルな要因による今回の値上げの波は、初めてのことでしょう。西友やイオンが『6月末までは据え置き』を発表していましたが、裏を返せば7月以降はどうなるかわからない。PBが値上げされるのも時間の問題だと思っていたところでしたが、今回、セブンが価格改定すると聞き、『いよいよ』という思いです。セブンがやったのだからと、他も追随しPBを値上げする動きが予想されます」
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