ウクライナ危機に乗じて“一人勝ち”の中国 「天然ガス」「海産物」で荒稼ぎか
ロシアの侵攻から1カ月超。いまも“静観”を決め込む中国の習近平・国家主席は内心、ホクソ笑んでいるのかもしれない。プーチンの暴挙で世界が混乱に陥り、日本も火の粉を浴びるなか、ひとり着々と経済利権の確保に勤しんでいるというのだから。
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ドイツを筆頭にヨーロッパ各国がロシアからの天然ガス輸入の算段と代替先探しに汲々とするなか、世界一の天然ガス輸入国・中国は悠然と構えたままだ。
「中国は天然ガス輸入の大半をカザフスタンなど中央アジアからのパイプラインで賄っているため、ロシア産への依存度は低いのが現状です」
こう話すのは、中国事情に詳しいシグマ・キャピタル代表取締役兼チーフエコノミストの田代秀敏氏。
ロシア産天然ガスを買い叩こうとする中国
しかし今後、増大する国内のエネルギー需要に対応するため、中ロ間で稼働中の1ルートの延伸に加え、新たに2ルートでパイプラインの敷設計画が進行中という。
「完成する頃には、侵攻の代償である経済制裁と孤立化の影響でロシア経済はいま以上に疲弊しているでしょう。深手を負ったロシアに対し、中国は安く買い叩く上に人民元での支払いを求める交渉に臨み、ロシア側が飲まざるを得なくなる可能性が高い」(同)
さらに続けて、
「現下のエネルギー危機を奇貨として米国産シェールガスを欧州に売りつけようとするアメリカの戦略が話題にのぼりますが、天然ガスはパイプラインを通してこそ安く買える。液化して専用船で洋上輸送する米国産ガスは欧州にとって廉価で安定的な供給の代替策とはなり得ないのです」(同)
大儲けとはいかない雲行きのアメリカに比して、中国の周到で狡猾な計略ばかりが際立つ。
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