近江・山田陽翔をスカウトはどう見たか? ドラフト候補、今年の高校生は目玉不在という声

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プロ向きの選手

 まずは松尾。捕手のドラフト候補を分析するうえで、重要な指標のひとつが、「イニング間のセカンド送球タイム」である。このタイムで2.00秒を切れば、“強肩”と呼ばれるレベルだ。

 筆者は、出場校の捕手のタイムをすべて計測したが、松尾は1.82秒という好記録をマークしている。これは全捕手のなかで、最も優れたタイムだ。これに加えて、準決勝、決勝と2試合連続ホームランを放ち、持ち前の長打力を発揮している。

 一方、海老根は、中学時代にはU15侍ジャパンに選出された経験を持つ。豪快なフルスイングが持ち味で、バットの芯でとらえた打球の勢いと飛距離は“超高校級”といえる。選抜では全4試合で、8安打、2本塁打を放ち、4割を超える打率をマーク。守っても、センターからの好返球で甲子園の観衆を沸かせた。

「松尾は、身長が178cmとそれほど大きくないのですが、バネがあって動きがいいですよね。(昨年の秋と比べると)スローイングは速いだけでなく、コントロールが良くなったと思います。打撃は、しっかりとバットが振れるし、ボールを遠くへ飛ばすコツも知っている。今秋のドラフト会議で対象となる高校生のなかでは、上位クラスの実力がありますね。一方、海老根は、とにかく肩がいい。大阪桐蔭の外野手は、みんなスローイングが強いのですが、その中でも1人だけ目立っています。打つ方はまだ粗いさがありますが、器用さを兼ね備えており、足も速い。プロ向きの選手だと思います」(関西地区担当スカウト)

評価が急上昇のサウスポー

 このほかの投手では、大阪桐蔭を苦しめた鳴門のエース、富田遼弥の評価が急上昇している。下半身主導で躍動感があるフォームが魅力的だ。1回戦で大阪桐蔭に敗れたものの、強力打線を相手に、8回を3失点(自責点2)と力投した。

 選抜で初めて富田のピッチングを見たという、ある球団のスカウトは「出場校のサウスポーのなかで、富田が一番良かった」としたうえで、こう続けた。

「右打者の内角に狙った通りにしっかり投げ込めるのがいいですね。投球フォームは、(他の投手に比べると)テイクバックが小さいので、バッターはいきなりボールが出てくるように錯覚するのではないでしょうか。さらに、変化球を投げる時もフォームが変わらないし、スライダーもいいコースに決まっていました。コロナ禍で練習試合ができず、(選抜は)ぶっつけ本番だったと聞いていますが、甲子園でここまで投げられるのは立派ですよ。大学か社会人に進んで、
さらに球速がアップすれば、将来的にドラフトの上位候補へ浮上する可能性も十分ありえます」

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