ロシア軍のキーウ撤退、プーチンの“真意”は マリウポリを「絶対に陥落させたい」事情
キーウへの再進軍は「現実的には無理」
民間人への無差別空爆などに加え、ウクライナの民間人女性への性暴力や避難民の銃殺など、更なる非道な行為を繰り返しているとされるロシア軍。目下、ロシア軍はキーウを諦め、代わりに東部のドンバス地方の制圧へと舵を切っているが、これは何を表しているのか。
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【写真】プーチン大統領と事実婚状態とされる元五輪金メダリスト「アリーナ・カバエワ」
ここ最近、ウクライナによるキーウ奪還など、ロシアの後退報道が目立ち、改めてプーチンの苦境が明らかになっている。ロシア軍の現況について、元産経新聞モスクワ支局長で大和大学教授の佐々木正明氏はこう分析する。
「『ロシアは軍を再配置して、改めてキーウに攻め入り陥落させるつもりだ』との見方がありますが、一度撤退したところにもう一度進軍するには、最初の進軍と同程度の負担が掛かります。また、進軍し直すとなれば、では初めの進軍の時の犠牲は何だったのかという話にもなる。したがって、キーウに再進軍するというのはあくまでロシア軍の“ポーズ”に過ぎず、現実的には無理だと思います」
進軍した意義の証明
こう聞くと、首都に留まり徹底抗戦を続けるゼレンスキー大統領の勝利は近いように見える。しかし、事情はそう単純ではない。目下、ロシア軍はキーウを諦め、代わりに東部のドンバス地方、とりわけドネツク州の主要都市であるマリウポリの制圧へと舵を切っているのだ。
「キーウからの撤退はロシア軍の戦費がかさんでいることに加え、以前から重要視していたマリウポリを陥落させる狙いからでしょう。マリウポリを落とせば、ロシア本土とクリミア半島が繋がり、“一定の成果”を上げたことになります。プーチンとしては、ウクライナに進軍した意義を証明するために何らかの成果を残さなければならない。したがって、是が非でもマリウポリは落としたいのです」(同)
つまり戦略の比重が首都から東部に移っただけで、プーチンの戦争がもたらす惨劇が終わったわけではないということになる。4月7日発売の「週刊新潮」では、今まさにウクライナで行われている人道的配慮のかけらもないロシア軍の蛮行について詳報する。