「プーチン孤立」報道で浮かぶクレムリンの米スパイ 諜報戦でロシアは完敗の舞台裏

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スパイが復活

 CIAのスパイがクレムリンにいることが明らかになったきっかけは、2016年に遡る。ロシアのアメリカ大統領選への介入とトランプ大統領との癒着疑惑が発覚したのだ。

「アメリカ大統領選で、トランプを当選させるべく、プーチン大統領の命令でサイバー攻撃を仕掛けたり、SNSを使ってヒラリーの評判を下げる投稿をさせているといったことが明らかになりました。秘密工作はプーチン大統領が指示したとの情報は、クレムリンにいたCIAのスパイが報告を上げたのです」(同)

 その後の調査でも、ロシア政府の介入が確認された。

「政権誕生後には、トランプ大統領のプーチン寄りの姿勢が問題になりました。2017年にロシアのラブロフ外務大臣とキスリャク駐米大使がホワイトハウスを訪問した際に、トランプ大統領が、イスラエルが得た中東情報をロシア側に渡したことが明らかになりました。これを受けてCIAは、スパイから得た情報をトランプ大統領に流すことは、彼らの身に危険が及ぶと考えて、クレムリンのスパイを引き揚げさせることにしました。実際にモルドバ経由で出国させたことが分かっています。つまり、その後クレムリンにCIAのスパイがいないという状況になっていた。恐らくそれから数年の間に、何らかの方法でスパイを復活させたのでしょう」(同)

 今回のウクライナ侵攻では、アメリカの情報収集能力の高さが際立っているという。

「ロシアの軍事侵攻を巡って、CIAの長官のウィリアム・バーンズ氏は、昨年11月2日にモスクワを訪れ、プーチン氏の右腕ともいわれるパトルシェフ安全保障会議書記に会っています。その時には既に、ウクライナ侵攻の可能性が高いことを把握していたのでしょう。侵攻前から情報公開を積極的に行ってきたことからも分かる通り、アメリカは何とかしてロシアの侵攻を止めようとしてきたようです。侵攻が始まってしまってからは、高い諜報能力を発揮し、各国協力しながらウクライナ軍を最大限支援しています」(同)

デイリー新潮編集部

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