ロシアが化学兵器を使用するならばサリン? 「プーチン暗殺」計画が動き出したとの情報も

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プーチンに対抗する有力者グループ

 FSBとは、ソ連時代の秘密警察「KGB」の後身。KGBは言わずと知れたプーチン自身の出身母体だ。そこからクーデター計画が持ち上がるほど、体制に動揺が走っているというわけである。

 衝撃の告発であるが、これに先立つ3月20日、ウクライナ国防省がFacebookで「ロシア側からもたらされた情報」としてこう述べている。

〈ロシアの財界・政界エリートの間で、プーチンに対抗する有力者グループが形成されつつある〉

 彼らは、

〈FSBのアレクサンドル・ボルトニコフ長官をプーチンの後継者と見なし〉

〈彼(=プーチン)を権力の座から引きずり下ろすために、さまざまな選択肢を考えている〉

〈特に中毒や急病、その他の「事故」が起こる可能性は否定できない〉

 つまり、病気や事故に見せかけ、FSBのトップがプーチン暗殺を企図しているということだ。先の英タイムズ紙が報じた内部告発と合わせて見ると、信憑性をもって、その可能性が浮かび上がってくるのも事実なのである。

アフガン侵攻の轍

 世界中が固唾を呑んで見守る、プーチン暗殺・クーデターの行方。その可能性はいかに。

 前出・名越教授は、

「実際には難しい」

 前出の佐々木教授も、

「実行されるには大きな壁が立ちふさがります」

 と言う。

「ロシアには『国家親衛隊』という治安維持部隊があります。端的に言えば、これはクーデターを防ぐ『プーチン親衛隊』。人員は実に40万人で、今ウクライナで戦っているロシア軍が20万人であるのと比べてもその強大さがわかる。クーデターや暗殺の前にこの部隊が立ちはだかるのです」(同)

 やはり皇帝の守りは鉄壁なのだ。しかし、

「あるとすれば、プーチンが核のボタンに手をかけようとした時でしょうか」

 と名越教授は言う。

「彼がそこまで乱心した時、これをレッドラインとして排除するという可能性はあり得ます。この戦争はプーチン以外に望んでいる人はいない。彼がいなくなれば戦争が終わるのは間違いありませんから」

 佐々木教授も、

「ロシア軍がウクライナに兵を展開するために、日本円で1日200億円もの戦費がかかっているとの試算があります。戦争が長引き、いよいよ経済が深刻なまでに悪化してくれば、兵士にも厭戦気分が広がるかもしれない」

 かつてソ連崩壊を決定づけた「8月クーデター」の際、ソ連の兵士は相対した民主派のエリツィン大統領に銃を向けなかった。それと同じことが起きるかどうか、だ。

「ソ連も、10年にわたるアフガン侵攻による戦費の増大が国民の困窮を生み、崩壊への一因となった。この戦争も長引けば長引くだけ、その轍を踏むことになるのではないでしょうか」(同)

 暴走はいつまで続くのか。そして、歴史は繰り返すのか。敗北の皇帝・プーチン滅亡の時は、ゆっくりと、しかし着実に近付いている。

週刊新潮 2022年4月7日号掲載

特集「敗滅のプーチン」より

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