ロシアが化学兵器を使用するならばサリン? 「プーチン暗殺」計画が動き出したとの情報も
もし化学兵器が使われてしまうと…
現在の戦況においても、サリンは大きな効果を発揮するという。
「多くの戦場が市街地で、人々は塹壕を掘ったり、地下室にこもったりしているため、通常弾では完全には破壊しにくい。しかし、サリンをそれらの中で撒けば急速に蒸発して広まり、空気より重いため地下室にも流入します。しかも、無色透明であるため、使用されれば急に周りの人が苦しみ出し、のたうちまわるという惨状になる。肉体だけでなく、相手の精神までをも破壊し、戦意を喪失させることもできるのです」(同)
まさに悪魔の兵器である。
吉野氏が続ける。
「仮にロシアが使用するにしても、化学兵器禁止条約を批准している前提に立てば痕跡を残さないようにしないといけないわけです。例えば化学工場などを破壊し、それに乗じて周囲にサリンを撒く――などのストーリーが考えられるのでは。しかし、化学兵器は非人道極まりないものですから、使われれば大量破壊兵器を使用する戦争へと大きく変質してしまう。国際世論はより沸騰し、ロシア対ウクライナという構図が一転、ロシア対NATO・アメリカという構図になるでしょう」
となれば、第3次世界大戦、そして核戦争の危機となる。化学兵器の使用は、まさに一線を越えるきっかけとなり得るのだ。
ナチスに比肩
そうした「狂気」をプーチンの中に見たのか。
ここに来て、ロシア内部にも注目すべき“異変”が起こっている。
3月23日、英タイムズ紙は、ロシアの諜報機関「FSB(連邦保安庁)」内部で、クーデターの機運が高まっている、と報道した。この記事が注目されたのは、FSBの中枢職員と見られる者からロシアの人権活動家に届いた内部告発を元に論じているからだ。それによれば、
〈プーチン氏は、ロシアによるキエフ政府転覆の失敗を諜報員のせいにした〉
そして、
〈FSBの高官2人が自宅軟禁となり、他の20人の自宅が捜索された〉
こうしたこともあり、FSB内部では混乱と、プーチンに対する不満が渦巻いているという。
さらに、
〈FSB職員は、国から与えられる集合住宅に加えて、一般市民よりはるかに高い給料をもらっている〉
〈イタリアの別荘に休暇で行ったり、子どもをパリのディズニーランドに連れて行ったり〉
といった特権がある。が、今回の戦争と経済制裁によって、
〈それがすべてなくなった〉
そして、内部告発者は言うのだ。
〈この戦争はナチスドイツの崩壊に比肩する「完全な失敗」である〉
また、
〈続けば続くだけ、反乱の可能性が高まる〉
〈必要であれば、体制に挑戦するのにやぶさかでない〉
[4/5ページ]