巨人、開幕ダッシュのウラに「原監督」「桑田コーチ」の英断【柴田勲のセブンアイズ】

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問題は四球

 とにかく問題は四球だ。試合を見ていると失点の7割くらいが四球絡みではないか。3日に先発した阪神のジョー・ガンケル投手が初回に1死二塁からグレゴリー・ポランコ、岡本和真への連続四球で満塁とすると中田翔に一発を浴びた。四球は大量失点に結び付きやすい。

 大勢も今後成功していくかどうか、ある意味で境目に来ている。2日の阪神戦、2点リードの9回にマウンドに上がった。だが、ロハス・ジュニア、近本光司への連続四球などで1死二、三塁とし糸井嘉男にタイムリーを浴びた。なんとか逃げ切ることができたものの危なかった。

 これからは1、2点差での登板が多くなるだろう。いまの大勢の球威なら打者を抑えることができる。ストライクを先行させてムダな走者を出さない。新人だ。打たれるのは仕方ない。四球で走者を出すくらいなら、まだ打たれた方がいい。こう思って自信のある球でグイグイ押すことだ。ルビー・デラロサが開幕3連戦後に早くもファーム落ちした。四球が原因だ。

 そうかと思えば昨季の守護神、チアゴ・ビエイラも30日のヤクルト戦では連続四球などで1死を取っただけで交代、3日の阪神戦では9回1死から木浪聖也、梅野隆太郎に連続で一発を浴びた。ブルペンでは真ん中低めに投げる練習をしてマウンドに上がれとアドバイスしたい。打者は甘い球を見逃してくれない。

カギは5番

 打線はいまのところいい。松原聖弥、中田は焦ってボール球を振っていたが、中田に満塁弾が出た。気分が楽になったのではないか。岡本和もまずまずだし、坂本勇人、丸佳浩はさすがだ。甘い球を待ってしっかり仕留めている。ポランコも順応性が高そうだ。

 打線の調子が落ちてきたら5番・中田と6番・丸を入れ替えるのも手だと思う。中田は丸に比べて穴が多い。岡本和が敬遠されたらカギは5番になる。

 それにしても阪神はひどいことになった。

 セ・リーグワーストを塗り替える開幕9連敗だ。ヤクルトとの開幕戦で7点差をひっくり返されたのが尾を引いている。あれは相当なショックだと思う。
 
 7点差を逆転されるなんて2年、いや3年に1回あるかどうかだ。それが大事な開幕戦で出てしまった。私は20年間やってきたが記憶にない。立て直すのは容易ではない。一つ勝っても二つ負ける。このパターンになる可能性がある。

 巨人は新人や若手が頑張っている。見ていて気持ちがいい。5日からマツダスタジアムで広島3連戦、東京ドームに戻ってヤクルト3連戦、出来過ぎを心配しながら見ていきたい。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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