阪神タイガース セ・リーグのワーストとなる開幕9連敗の背景と矢野監督「退任発言」の余波
監督を辞めさせることができるのは
「次の打者がセンターオーバーのツーベースヒットを打って逆転するのですが、ここに見られたのが1点への飽くなきこだわり、チャンスと見ればとことんやり抜くという原監督の徹底的なスタンスです。こういうものを見せつけられると他チームには“巨人は厄介だ、仕掛けてくるかもしれない”という印象が残り、常にあれこれ警戒をしなければならなくなり、逆に巨人としてはやりやすくなるものです」(記者B)
他方、今回の9連敗をめぐっては、阪神の矢野燿大監督が「今季限りの退任」を表明したことの負の影響を指摘する声が少なくない。
「監督を辞めさせることができるのは球団でありオーナーです。そこが続けろと言っているのに、シーズンが始める前から辞めますと言うのは大人の世界の約束事では考えられない行為ですよね。たとえ退任を訴えてチームが鼓舞され結束するなら良いのですが、キャンプインの時点でそんなこと言われても選手たちも当惑するばかりでしょう。監督が自身独特のヒロイズムに酔ってしまった結果じゃないかなって見ています」
と、こちらも阪神担当ではない記者C。
「辞めるからには」発言
「矢野さんは野村監督に仕えていた現役時代、敗戦の理由としてしばしばやり玉に上げられていました。そういう記事には目を通したくないのは人情としてわかりますが、実際に彼の場合はあまり目を通さなかったと言われている。割とナイーブなタイプなんですよね」
と、記者Cは続ける。
ナイーブさを表していたのが、矢野監督の2018年秋の監督就任時の“所信表明”的なメッセージだ。この時彼は、「勝つこと、優勝するだけじゃなくて。勝利以外のプラスワン。何か、皆の中で考えてもらいたい」などと選手らに呼びかけている。これはファンの期待から来るプレッシャーを意識しての言葉だったように見えたと記者Cは言う。
「阪神ファンは押し並べて期待が大きいので、負けると相当なプレッシャーがチーム全体にかかります。現に、矢野監督は力不足だという声は根強くある。そういう日々に疲れたこともあって開幕前に退任を口にしてしまったのかなぁという気がしないでもないですね」
その理由として記者Cは、こんな風に話す。
「選手の前で“辞めるからには、好きなことをさせてもらう”というニュアンスのことを言ったようなんですよね。でも、そもそも阪神は采配に口を挟む球団ではないですからね。“オレのやりたいようにやるから外野は黙っとけ”みたいな、開き直りにも似た態度にも映りました」(同)
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