若者と高齢者に等しく「行動制限」を強いるべきだったのか?

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青春時代をコロナで塗りこめられた若者たち

〈 僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて誰にも言わせない〉

 ポール・ニザンの小説『アデン、アラビア』の冒頭を飾る言葉である。池澤夏樹はこれをカミュ『異邦人』冒頭の〈きょう、ママンが死んだ〉と並べ、20 世紀フランス小説の中で最も有名な二つの書き出しと評している。

 学歴社会フランスの頂点に立つ高等師範学校(École normale supérieure)でサルトルとも同室だった同世代では最高のエリートたる若者が、「青春は美しい」と言い募る「大人たちの紋切り型」に当事者として反撥し、老いさらばえた欧州に背を向けエキゾチックなアラビア半島南端の植民都市を旅する「イノセンスと反抗」の物語、それが『アデン、アラビア』である。...

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