岸田総理が連発する“仕事をしているふり話法” ただ首相になりたかっただけでは?(中川淳一郎)

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 岸田文雄首相って何やりたいんだろうか。「聞く力」なんて言っているけど、やっているのは世論を読み、大衆迎合の決定をするだけ。オミクロン株の海外での感染拡大を受け、11月末に水際対策の徹底という名の鎖国令を出したら、読売の調査では圧倒の支持率89%。内閣支持率も前回調査より6ポイント上昇の62%。

 これに気をよくしたのか、「まん延防止等重点措置乱発&延長」「金融所得課税見直しで金持ちからカネふんだくる宣言」をします。そして、ロシアに侵攻されたウクライナへの同情が世論と見るや「ウクライナ難民を受け入れる」と宣言。おい、お前ら自民党はイラク、アフガニスタン、ロヒンギャ、シリア難民を受け入れてねぇだろ! むしろ追い返してきたろ! 白人で西側の人間だからって態度変えるんじゃないよ。

 しかしながら、墓穴を掘ったのが、「外国人留学生に10万円あげる」宣言です。何しろ中国人留学生が多いだけに、保守派から猛烈に反発をくらったのです。ツイッターでは左派が作ったかのような「#岸田政権の退陣を求めます」で保守派が盛り上がる事態に。ついに風見鶏大失敗。

 そして、彼の問題は「言葉」ですよ! 完全に呆れ果てたのは3月10日、FNNのオンライン版が報じた『【速報】岸田首相 食品値上がりに「緊張感を持って対応」』です。ガソリンに加え、食品まで値上げされ国民生活にどでかい砲弾くらったようなものなのに「緊張感を持って対応」って何だよ。お前は評論家か。もう貧乏国家日本の国民は疲弊しているんだよ。

 この「仕事しているふり話法」については、ツイッターユーザー「テキトー」氏が「岸田流『何もしない』の様々な表現方法」としてまとめましたが、こんなのがありました。

「注視していく」「慎重に見極める」「適切に対応する」「検討に検討を重ねる」「警戒感を持って取り組む」「専門家の意見を伺いながら議論を続ける」

 これらはごく一部で、他にもネットユーザーが挙げた「岸田話法」には、こんなものがあります。

「皆さんの声を聞いて検討したい」「あらゆる選択肢を排除せずに検討を続けます」「各国と緊密に連携をし」

 これ、すべて言っているのは「私は何も意見を持たないが、いつか判断することもあるかもしれないです。とりあえず、この会見は仕事をしているふりごっこをさせていただき、この場を乗り切らせてください」という意味です。

 つくづく思うのが、この男、ただ首相になりたかっただけじゃないの?ということです。鳩山由紀夫氏の場合は恐らく「世界平和」「中韓と仲良くする」といったことは成し遂げたかったでしょう。安倍晋三氏は「憲法改正」「北方領土奪還」はあったはず。自民党総裁選に出馬経験のある野田聖子氏は「男女同権」で、高市早苗氏は「国防強化」はなんとなく感じられる。

 しかし、「経済破壊相」こと西村康稔氏と岸田氏には「とにかくオレは総理大臣になりたいんだもんね! あとは知らん!」というニオイしか感じられないんですよ。私にとって岸田氏はわずか69日で辞めた宇野宗佑氏に次ぐボンクラ首相です。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんきつ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。

週刊新潮 2022年3月31日号掲載

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