上戸彩はなぜ「良妻」役がハマるのか ジャニーズとの相性と、包容力を感じさせる「甘え口調」
良妻役への足掛かりとなったヒット作の共通点 甘えた口調を強みに変える哀しい過去を持つ役柄
上戸さんがすごいのは「何をやっても上戸彩」とは意外と言われないことだ。それは今の明るい良妻役とは対照的な、「陰のある美女」役のヒット作を多数持つからだろう。例えばブレークのきっかけとなった、「3年B組金八先生」で演じた性別違和を抱える生徒役。映画「あずみ」の哀しき暗殺者役。ドラマ「流れ星」で借金返済のために臓器提供に同意する風俗嬢役。一大ブームを巻き起こした、不倫に溺れる「昼顔」の人妻役も。さらに、親がいない設定が多いのも特徴だ。女優デビュー作の「涙をふいて」も初回から親の死に直面し、明るく健気な「高校教師」や「アテンションプリーズ」でも、片親という境遇が明かされる。こうした哀しい過去は、例の子どもじみた口調を、幼稚さではなく健気さに転化したのではないだろうか。甘えているようで男性を甘えさせている包容力さえにじみ出る。それが、夫の扱いに長けた良妻枠への足掛かりとなったのかもしれない。
相手役が寡黙だったり、こじらせ男子、母性をくすぐられるタイプであるほど、上戸さんもドラマも輝く。逆に、はっちゃけた相手だと数字が取れない。大泉洋さんや中居正広さんとの共演作は、高視聴率女優の彼女には珍しく低迷した。
上戸さんは、繊細な男性を引き立てるのが最高にうまい女優なのだろう。それゆえか、ジャニーズとの共演が同世代の女優の中でも突出して多い。かつては同事務所のタレントとも熱愛報道が出たのに、異例のことではないだろうか。
同じ「国民的女優」でも綾瀬はるかとの違い 甘い口調とジャニーズの女房役という二つの武器
それは同い年で主演級女優である、綾瀬はるかさんとは大きく違う点だ。上戸さん同様にCM女王としても好感度が高い彼女は、単独で目立つ印象が強い。紅白の司会を務めた時のドタバタぶりを見ても、周りを振り回すパワーを持っている人だ。だから相手にも強烈な持ち味が必要とされるのだろう、共演したジャニーズも木村拓哉さんくらいである。しかも恋愛ドラマではない。相手役を問わず輝く綾瀬さんと、相手役を輝かせることのできる上戸さん。どちらも国民的女優であることは間違いないし、真逆の魅力があるということだ。いずれにせよ、「国民的良妻」として上戸さんの右に出る者はいない。最近のドラマは強い妻が主流だが、鬼嫁になりきれない柔らかさは、意外と他の女優が持っていない武器ともいえる。変わらないように見えるのは怠惰なのではなく、「変えない」という決意の表れかもしれない。
国民的「良妻」女優でもあり、ジャニーズ俳優たちの「女房役」としても確固たる地位を築いている上戸さん。プライベートでも幅広い交友関係を持ち、ドラマを地で行く良妻賢母ぶりは評判だ。しかも夫はLDHグループのトップである。良妻役が得意な上戸さん、今後、芸能界のビッグマザーとして君臨する日も、そう遠くないに違いない。