「バーバリーロス」から立ち直れず6期連続赤字の「三陽商会」 2年前の「身売り危機」を振り返る
キャッシュリッチ
アパレル大手の「三陽商会」が、2022年2月期の連結営業損益を10億円の赤字と発表した。6期連続赤字である。同社は前期まで5期続いた赤字からの脱却を掲げてきたが、新型コロナウイルスオミクロン株感染拡大の影響を受けた。このままでは、2年前になんとか乗り切った「身売り危機」がふたたび浮上するのではないか。
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20年当時の三陽商会は、コロナ禍に追い打ちをかけられ、さらには、外資系ファンド「RMBキャピタル」から身売りを迫られ、まさに存亡の危機にあった。
その原因は言うまでもなく、15年に「バーバリー」からライセンス契約を打ち切られたからだ。1100億円超の売上は一気に半減し、赤字体質へと転落した。結局、三陽商会はバーバリーに代わる収益の大黒柱を見つけ出すことができず、座して死を待つような状況に陥る。800人近い社員をリストラし、虎の子の「青山ビル」を投資ファンドに64億円で売却した。
とはいえ、三陽商会は経営難の反面、バーバリーでの儲けを溜め込んだ「キャッシュリッチ」な会社でもあった。
現預金130億円や有価証券89億円、さらに、東京の本社ビルやその隣の本社新別館など総額200億円以上の不動産等々。キャッシュリッチな会社は「物言う株主」に狙われやすい。株主還元が十分でないと見做されるからだ。
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