橋下徹らの「ウクライナ降伏論」への反論 ロシアに祖国の一部を侵略された専門家の証言

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国際的に通用しない

 平川祐弘・東京大学名誉教授(比較文化史)も次のように言う。

「ウクライナに降伏を促すのは、余計なお節介ですよ。そんなに言うなら、自らクレムリンに乗り込んで、戦争を止めるようプーチンを説得してほしいですね」

 また先のダヴィド氏も、

「今、降伏を勧めたって、ロシアを励ますメッセージにしかならないというのが分からないのでしょうか。まるでロシアが流しているプロパガンダのようです。それ自体はウクライナに直接届かないかもしれませんが、日本の世論に与える影響力を考えると、見過ごすことはできません」

 と釘を刺す。平川氏が喝破するところ、

「日本は島国という環境もあり、なんとなく安心感があって、特殊な平和主義が罷り通っているだけです。でも、その感覚は国際的に通用するものではないでしょう。自由とは本来、死を恐れていては得られないものなのですから」

 だからこそ凄絶な戦況下でも、ウクライナ人は抵抗を続けるのである。彼らにとって、祖国の喪失は自らの命を奪われるに等しいのだ。

週刊新潮 2022年3月31日号掲載

特集「『プーチン』地獄へ」より

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