引分けのベトナム戦 柴崎岳のような選手を使うのは難しい時代になりつつある

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森保監督の“決断”

 オマーン戦は冨安健洋がアーセナルに移籍したばかりなので植田直通を起用したが、それ以外はほぼ固定されたメンバーだった。

 攻撃は鎌田と柴崎が担い、1トップの大迫勇也は不動。オマーン戦は右FWに伊東、サウジアラビア戦は浅野拓磨と、スピード系の選手を配置した。

 起用した選手に多少の入れ替わりがあったとはいえ、戦術的な変化はない。対戦相手の監督にしてみれば、対策を立てやすい日本戦だっただろう。

 後のない森保監督は10月のホーム・オーストラリア戦でスタメンに守田と田中を抜擢し、システムも4-3-3に変更する。

 この決断が吉と出た。特に田中は代表3試合目で開始早々の8分に先制点を決めて日本を楽にした。

 ただし、オーストラリアはホームでもアウェーでも、日本が苦手とするロングボール主体の攻撃を捨て、パスをつなぐ“地上戦”を展開してくれたのはラッキーだった。ここらあたり、対戦相手との巡り合わせにも恵まれたのではないだろうか。

 そして本大会である。アジアでの戦いと違い、守備に回る時間が増えるのは仕方ない。しかし前回のベルギー戦のように、チャンスがないわけでもない。

ポスト大迫の発掘が急務

 まずは初戦で勝点を落とさないことが決勝トーナメント進出のための最低条件となる。4月1日に組み合わせが決まるが、強化の機会は6月と9月のテストマッチに加え、7月に中国での開催が予定されているEAFF E-1選手権しかない。恐らくEAFF E-1選手権は国内組で臨むことになるだろう。

 それを考えると、ベトナム戦のスタメンのようにバックアップメンバーの底上げを図るより、ここまで来たのだから主力を固定して、例えば三笘のようにピンポイントでジョーカーを発掘した方が現実的ではないだろうか。とりわけポスト大迫の発掘、上田なのか古橋亨梧なのかなどは急務に思えてならない。

六川亨(ろくかわ・とおる)
1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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