引分けのベトナム戦 柴崎岳のような選手を使うのは難しい時代になりつつある
守田、田中、三笘の“価値”
森保監督は後半戦を迎え、旗手に代えて伊東純也を右サイドに投入し、久保をトップ下に回す4-2-3-1へとシフトする。
柴崎と原口のダブルボランチで、久保の才能と伊東のスピードに期待したのだろう。しかし、久保はその期待に応えたとは言い難い。
日本が同点に追いつけたのは、吉田のインターセプトによる攻撃参加の賜物だ。さらに後半に入ると、上田のポストプレーが味方選手のシュートを引き出すようになる。
そして後半16分、森保監督は柴崎から田中、原口から守田、久保に代えて南野拓実と日本をW杯に導いた選手を投入。システムは4-2-3-1のままだが、自身「アンカーの方がいいのではないかな」という守田が中盤の底に入り、田中が攻撃的なポジション、南野がトップ下に入った。
このシステム変更で明らかになったのは、南野はやはりトップ下で自由に動いた方が効果的な攻撃ができるということ。守田と田中は攻守において欠かせない選手ということだ。
守田の加入により山根が高い位置で攻撃参加できるようになり、田中は意外性のある飛び出しでベトナムゴールを脅かした。
そして三笘は、スタメンより相手が疲れてきた試合終盤での“ジョーカー”的な起用の方が脅威になるということだった。
柴崎の“老朽化”
個人的には、もしも守田や田中にアクシデントがあった場合のバックアッパーは、守備の強度に欠ける柴崎では難しいのではないか。
彼のロシアW杯ベルギー戦での原口へのパスは、日本のサッカー史に残る一級品だ。しかし時代は常に変化していて、彼のようなタイプの選手は使うのが難しくなりつつある。
ドイツならバイエルン・ミュンヘン、スペインならバルセロナかレアル・マドリーなど、それぞれの代表の主力はリーグで長年にわたり好成績を収めているクラブチームの主力で固められていた。それを日本に当てはめるなら川崎Fということになる。
そう考えると、守田や田中、あるいは遠藤のバックアッパーには、川崎Fの脇坂泰斗や橘田健人を早急に呼ぶべきではないだろうか。
改めて今予選を振り返ってみると、日本が苦戦したのは主力である海外組が長距離移動によるコンディション不良から、ホームのオマーン戦(0-1)とアウェーのサウジアラビア戦(0-1)に敗れて黒星が先行したからだった。
そして2試合とも4-2-3-1でダブルボランチは柴崎と遠藤、トップ下は鎌田大地という組み合わせだった。
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