マスターズの「招かれざる選手」となったミケルソン “カネ”への執着で誰も助け船を出さない自業自得

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「それでこそ、ミケルソンだ」という賛辞

 ファンの間からは「ミケルソンを誰か助けてあげて」といった声も上がっている。

 だが、問題発言でゴルフ界が騒然となったとき、彼を擁護したのは「誰もがミスをする。フィルは許されるべき」と語ったローリー・マキロイただ一人にとどまり、マスターズからの出場拒否が報じられた今では、擁護の声は現状では皆無だ。それどころか、「なるべくして、こうなった」と見る向きは多い。

 まだメジャーに勝てそうで勝てなかったころのミケルソンは、ゴルフバッグにドロー用とフェード用の2本のドライバーを入れてみたり、パイロットの資格を取得して小型ジェットを自ら操縦したり、大リーガーへの憧れが高じてピッチャーのトライアウトに挑んだりと、奇想天外な言動で人々を驚かせた。「それでこそ、ミケルソンだ」というフレーズは、最初のうちは賛辞だった。

 しかし、「それでこそ」の意味は徐々に奇異の目へ、批判へと変化していった。というのも、「マネー」に関する言動があまりにも目立ち始めたからだった。

「ワッフルハウス」に大金を投じてトラブル

 2000年代に入ったころから、ミケルソンはビジネスに傾倒し、フード・チェーンを所有することに興味を示すようになった。

 2009年には、彼が元エージェントだった人物らとともに全米チェーンのレストラン「ワッフルハウス」に大金を投じた末、大トラブルに陥ったことが明るみに出た。

 2010年には、やはり全米チェーンのバーガーレストラン「ファイブ・ガイズ」5店舗をカリフォルニア州内に所有していることが判明する。

 とはいえ、有名アスリートが全米展開のフード・ビジネスに手を出すことは、米国では珍しいことではない。NBAやNFLのスター選手たちの中にもハンバーガーやビザのレストラン・チェーンの共同オーナーになっているケースは多々見られる。

 しかし、2013年ごろからの失言などによって、彼にだけ冷ややかな視線が向けられるようになる。

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