マスターズの「招かれざる選手」となったミケルソン “カネ”への執着で誰も助け船を出さない自業自得
差し伸べられる救いの手は皆無
マスターズ3勝を含むメジャー6勝、通算45勝を挙げてきたゴルフ界のレジェンド、フィル・ミケルソンが、マスターズを主催するオーガスタ・ナショナルから「来ないでくれ」と強く言い渡され、出場を拒否されていたというニュースが流れた。これを聞いた世界中のゴルフファンはショックを受けたことだろう。加えてミケルソンに差し伸べられる救いの手が皆無である現状に、さらに衝撃を受けているファンも多いという。
【写真】大暴言で姿を消したスター・ミケルソン オイルマネーによるゴルフ新ツアー構想が大モメ
それどころか、米ゴルフ界の選手や関係者たちが「それみたことか」等々、突き放すようなセリフを言い捨てているのを耳にする。
ファンへのサービス精神が誰よりも旺盛で、親指を立ててサムズアップしながら笑顔で頷くミケルソンは、米国のゴルフファンや子どもたちの憧れの存在だった。
そんな彼が八方塞がりになった今、周囲が彼に冷たい視線を向ける、その背景を辿った。
「恐ろしい人々」「欲深い人々」
なぜ、ミケルソンはマスターズ出場を拒否されてしまったのか。そこに至るまでの経緯をざっと振り返ると、かねて浮上しているサウジアラビアのオイルマネーによる新ツアー創設構想に絡み、彼が口にした言葉が大きく問題化したことが直接的な原因となった。
ミケルソンはサウジ側の人々を「恐ろしい人々」、PGAツアー側の人々を「欲深い人々」と侮蔑的に言い放ち、その際、分別ある大人として口にすべきではない英語を口にした。
その発言は瞬く間に全米へ、世界へと拡散され、大騒動へ。彼はすぐさま謝罪声明を出し、一時休養を宣言して姿を消した。
だが、長年、ミケルソンをスポンサードしてきたKPMGやアムステル・ライトは即座に契約解消を決定。キャロウェイは契約を停止、ワークデーは契約更新を行わいと発表した。「ミケルソンの大会」とも言われるザ・アメリカン・エキスプレスもミケルソンと彼の財団を大会から完全に切り離し、彼はほぼすべてのスポンサーを一気に失った。
すでにPGAツアーからは出場停止処分を科せられていると見られており、4月のマスターズの出場者リストにミケルソンの名前が載っていないのは「出場停止処分中だからだろう」と思われていた。
しかし、真相は違った。オーガスタ・ナショナルが彼を拒絶したからだった。
マスターズはインビテーショナル(招待大会)ゆえ、たとえ出場資格を満たしていても、オーガスタ・ナショナルからの招待状が届かなければ出ることはできない。数々の言動が問題視されたミケルソンは、マスターズ過去3勝のチャンピオンでありながら「招かれざる選手」となってしまったのだ。
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