事件現場清掃人は見た アパートで60代男性が孤独死、大家の意外すぎる言動に驚いた

  • ブックマーク

「何もしてやれなかった」

 ところが、この大家は男性が亡くなったことをとても悲しんでいたという。

「大家にリフォームの代金を伝え、『遺族に請求しましょうか』と言うと、信じられない言葉が返ってきました。『ご遺族には一切請求しません』と言われたので、私はびっくりしました」

 リフォーム代は100万円近くかかるという。

「大家にとってもかなり負担の大きな金額だと思います。リフォームの代金を巡って、大家と遺族がトラブルになることも少なくありません。裁判沙汰になるケースも結構ありますからね」

 高江洲氏は、異例の対応をした大家になぜ遺族に請求しないのか聞いてみた。長年特殊清掃をやってきて、こんなケースは初めてだったからだ。

「大家は、『20年以上住んでくれたから、感謝しかありません』と言っていました。盆暮れには、互いに贈り物をしていたそうです。昔と違って、大家と店子がそういう関係になることはまずありません。亡くなった男性はずっと独身だったそうですが、大家とは親友のような付き合いだったようです」

 大家は亡くなった男性に対して、

「何もしてやれなかった。気づいてあげられなかった」

 と後悔していたという。

「大家と亡くなった男性のことを考えながら特殊清掃を行いました。久しぶりに心が癒される経験でした」(高江洲氏)

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。