大阪桐蔭vs国学院久我山、近江vs浦和学院が選抜ベスト4で激突 勝負の鍵を握る「注目選手」にスカウト陣が熱視線!
3月19日に開幕した第94回選抜高校野球大会も残すところ、準決勝と決勝のみとなった。準決勝では、浦和学院(埼玉)と近江(滋賀)、国学院久我山(東京)と大阪桐蔭(大阪)が激突する。プロのスカウト陣が熱い視線を送るドラフト候補を中心に、準決勝の見どころを解説してみたい。【西尾典文/野球ライター】
第1試合の最大の注目ポイントは浦和学院の宮城誇南、近江の山田陽翔の両エースのピッチングだ。宮城はここまで3試合、23回1/3を投げて3失点、山田は全3試合を完投していずれも2失点以内と、抜群の安定感を誇っている。ともに、昨年夏の甲子園で登板しており、下級生の頃からの経験も十分だ。
宮城の特長はコーナーを突くコントロールと巧みな投球術だ。1回戦で完封勝利をあげた後に、関東担当スカウトに取材すると、以下のようなコメントが返ってきた。
「1年生の時から投げていることもあって、ピッチングが上手いですよね。相手の打者をよく見ながら投げています。スピードは物足りないですが、楽に投げているように見えるので、球速以上に打者の手元でボールが来ていると思いますよ。大学で力をつければ、(高校の先輩である)小島(和哉・ロッテ)みたいになれるかもしれませんね」
現在のストレートの球速は130キロ台前半が多いため、今秋のドラフトでは有力候補とまではいかなくても、大学経由でのプロ入りは十分に狙えそうだ。
高校からのプロ入りを狙えるという意味では、山田の方が可能性は高そうだが、昨年秋は肘の故障で投げられなかったこともあって、スカウト陣は、野手として評価する声も少なくなかった。ただ、選抜の好投によって、再び投手としての評価が上がったことは間違いないようだ。関西地区担当スカウトは、山田について、こう話す。
「投手としては上背がある方ではないので、野手かなとも思っていました。ですが、(選抜で)これだけいいピッチングを見せられると、やはりピッチャーとして見ないといけませんね。高校時代の藤嶋(健人・中日)も同じようなタイプで、バッティングが目立っていましたが、プロでは投手として戦力になっています。山田は、縦の変化球がいいので、プロでも上手くはまるかもしれません。どちらにせよ、ピッチングとバッティング両方をチェックしていくことになると思います」
一方野手をみると、浦和学院のショート、金田優太に対するプロからの注目度が高い。2回戦の和歌山東戦でホームランを放つなど、ここまで打率.667と抜群の成績を残している。引っ張るだけでなく、広角に打てる上手さがあり、近江の投手陣が金田をいかに抑えるのか、注目すべきポイントになるだろう。
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