客に迫られても絶対NO… 42歳“不人気”メンズエステ嬢の「プライド」と「V系バンド」
「嫌なものは嫌」
北条は新人にマッサージを教える「講師」を務めるほどのテクニシャンだ。8時間の予約を取ったお客様に、シャワーと休憩をのぞく7時間ずっと飽きさせず施術したこともあるという。相手に相槌の時間も与えないマシンガントークでしゃべり続けるし、気も利く。プロのメンエス嬢だからこそ、風俗化する業界を憂いている。
「私は過剰サービスはしない。嫌なものは嫌。ルールはルール。でも、店の人気ランキング上位の子は、ほとんどが『過剰』をしているというのも事実。メンエスでもHPに「写メ日記」があるのですが(※店舗HPに掲載される従業員ブログ。風俗店によくある)過剰を行う子はギリギリのマイクロビキニ姿の写真をアップしているんです。その写真を見て期待と下半身を膨らませてきた男性にフツーのマッサージをしたら、それこそ詐欺じゃないですか」
それでも北条は過剰を拒む。あまりにしつこく「やりたい」と迫る客にはマッサージを途中で切り上げ、シャワーを浴びて帰らせたこともある、と笑う。
「触ってこようとする人も珍しくはないですよ。でもマナーを守れない客は客じゃないですから」
それでも昨今の風潮を鑑みると、北条は客にとって「期待外れのセラピスト」となってしまうことも事実。馴染みのリピーター客もいるにはいるが「2~3人くらい」と、業界歴の割には決して多くはない。ハッキリ言ってしまえば不人気セラピスト、ということになる。
「10時間以上、(店に)待機しててもお客さんがゼロの日もあります。店に行くまでの交通費とか待機中の食事代を入れたらマイナスです。だから正直、『過剰』して客を取り込む女性の気持ちもわからなくは無いんですよ。単純に稼げないし、生活していけないですから。でも、私は好きでもない男に色気を振りまけられないし、ハードなサービスもできない。その分、マッサージを徹底する方が私は好きなんです」
最近、新たに東京都外の店でも働き始めた。北条が売りにする「じらし」を売りにしているメンエスで、珍しくリピーターが2人もついたと喜ぶ。
「でも、在籍してる子が多いから出勤させてもらえなくて、週に2日くらいしか働けないんですけどね」
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